秋の終わりに

旅立つあなたは

何を思っていたのでしょうか

白くなったかんばせ

じっと 耳を澄ませる


いらへは無くとも

澄ませた耳は

何かを捕らえたような気がして


涙が

ぽたり、と

柩に落ちた


会いたかったであろう者の名を

最期まで口にはしなかった

私の耳に遺した言葉は

誰の名でもなく


あなたの悲しみの

深さが

ただ、ただ痛くて


逝く秋と共に

散り往く命に

じっと 耳を澄ますばかり






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