棄て忘れた過去

凍えた感情は熱を忘れ

朽ちることもなく立ち尽くす

林立する影のように

曖昧な明暗だけが景色を作る


落雷によって火を得られたならば

いっそ、良かったのだと

燃え尽きる瞬間を夢見ては

有り得ない夢想に微かに傷つく


ただ、静かに

切り取られた時間のように

ひたと動きを止めたまま

何にも思いを動かされないまま


通り過ぎていくものを

硝子の瞳に映し

微笑み続ける人形のように

其処にただ在るだけ


無価値なまま






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