通りゃんせ


               何

 罪             処

 深         底   ま

 い         知   で

 ま         れ   も

 ま      救  な   落

        わ  い   ち

 知    言 れ  後   る

 ら    訳 な  悔   が

 ぬ    で い  の   い

 ま    塗 悔  闇   い

 ま    り 恨  へ

      替 を  と

 辿    え 持

 る    忘 て

 地    れ 余

 獄    果 し

 路    て

 と

 つ

 と

 つ

 と

 ・

 ・

 ・



亡骸にすがりつき泣きながら言うのだ

「もっと親孝行をすれば良かった」と

免罪符のように高々と掲げられる言葉

見飽きているよ、うんざりする程度に


愚図愚図と言うくらいなら、どうして

生きているうちにしてやらなかったと

喉元まで迫り上がる怒声を呑み込んで

義妹の泣き顔を私は黙って眺めていた


どうせ言訳、自己防衛の繰り言なのだ

親に何もしなかった後悔を塗り替えて

周囲の涙を誘っては悲劇に浸る常套句

見え透いた茶番に付き合う義理はない


葬式のたびに胸糞悪い気分を味わった

号泣する義妹むすめ、泣きもしない長男の嫁わたし

端から見れば冷酷に見えただろう私は

悔いなく見送るだけのことはしてきた


やれることを全てやっても悔いは残る

ならば、やることもしなかった者には

どれほどの悔恨が去来するのだろうか

その涙で流しきれるはずも無かろうに


遺された者たちが見せる悲喜劇すらも

見飽きたんだよ、だから尚更に憤怒が

我が身内への憤怒が行き場を見失って

荒れ狂うんだろう、醜い濁流となって


死に逝くものを見送ろうとすらせずに

遠い地で我関せずを決め込む愚かな兄

義妹よりも醜悪なその姿を忘れないよ

因果応報、廻るのを眺めているからね


とつとつと、辿る地獄路の最果てでね

待っている待っている、待っているよ

抱きかかえ背負った罪を必ず思い知る

その瞬間、どんな顔をするのだろうね


その面を、ちゃんと見納めてあげるよ



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