夢のまた夢

陽が落ちていく

黄昏が染める地平線に

金と藍の静寂しじまを描く

遥かな砂上に夜が訪れる


彼方に朽ちた栄華の都は

屍のような遺跡となって

虚しい時間ときを晒しながら

誰かの夢に紛れて消える


きみは夢の砂漠に埋もれ

旅する僕を待っているのか

それとも僕こそが砂の一粒となって

掬われることを待っているのか


曖昧なままに漂う思念は

夜の帳に薄く拡がり

点在する祈りを明滅させては

流星のように爪弾く


深く沈黙する闇の揺篭


叶わない想いならば捨てるがいい

ここは夢の墓場、孤独な地獄

誰にも知られぬ愛を弔い

明ける陽と共に忘れゆくから


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