到来、変わった仲間+α
「店長どうします、やっぱり警察に届けますか?」
「うーん、そうだね。被害も多いしね。」
店長さんが警察を呼ぼうかと店員さんと話していると、入口から癒しの音がなる。
「困ってるみたいだね、私に任せなよ。」
いきなりの来客に上から目線な口調、そして中学生ぐらいの身長。私も店長さんも店員さんもみんな目を丸くした。
「君は?」
「私は 橘 香織 。今日面接受けるって連絡してたでしょ。」
(て、店長に敬語使わないなんて、面接大丈夫なの!?)
「君中学生だったのかい?ごめんね、中学生は面接できないんだよ。」
店長がそういうと女の子は腰に手をおき、地団駄を踏みながら明らかに機嫌が悪くなった様子で言った。
「む〜、私は高校生!ほら!」
そう言って生徒証を取り出した。
(ごめんなさい、中学生どころか小学生かなと思ってました。ごめんなさい。)
「そ、そうだったのか。ごめんね。」
「まぁいい、とにかくその事件私が犯人を見つけてあげるわ。」
「本当にわかるのかい?」
不安そうな表情をしながら店長は聞くが、女の子は自信満々な顔をしている。
「私はこう見えても普段から推理小説をいっぱい読んでるの、だから任せて。」
(す、推理小説?それ関係ないよね?)
「まぁ、じゃあ頼むよ。」
それを聞くと女の子は満足そうに微笑むとレジの現場へと向かった。
「む、これは。店長さん、この肉まんのケースは鍵とかもないし誰にでも開けようと思えば開けれるの?」
「ああ、そうだね。鍵なんかつけたらお客さんがいっぱいならんでるときに遅くなっちゃうしね。」
「なるほど、犯人はお客さんに紛れて入ってきたようですね。」
「そうなのかな。」
「そうだ、防犯カメラは?」
「あ、そうか。カメラに映ってるかな。」
ということで防犯カメラを見に行くことになった。
「これだよ、映像。」
(こ、ここに犯人が……)
………………
(あ、あれ?)
「う、映ってない?か、勝手に開いてる!?」
なんと犯人どころかお客さんも誰もいないというのに勝手にケースが開いているのである。
「う、嘘?」
これには女の子も驚いた様子だ。
「フッ、私には犯人がわかった。」
「え、ええ!?誰も映ってないのに。誰なんだい?犯人は。」
「犯人は……店員さん、あなただ!」
「「え、ええーー!」」
(店員さんが犯人?何言ってるの??)
「な、なんで俺が?」
みんなが驚いていると女の子はこんなこともわからないのかと言うような顔をしながら説明を始めた。
「簡単な話、あなたはまず肉まんを作るのを失敗した。でもそれがバレて怒られるのが嫌だったから何者かに襲われたかのように偽装した。しかし防犯カメラに映っていることに気づいたあなたはこっそりこの部屋に入り動画を編集し、誰も映ってない動画をいれたんだ。そうでしょ?」
「ち、違うよ!」
「そ、そうだよ。彼はそんなことするような人じゃないよ。」
「人は見かけによらないんだよ。とにかくレジに行こ、証拠を見つけたらいいんだから。」
完全に店員さんを犯人と決めつけてしまっているらしい。女の子は静かに話しながらどこか自信満々なのでみんな従ってしまっている。
(だ、大丈夫かなぁ)
レジにつくとさっそく証拠を探そうと女の子がレジに近づいた瞬間だ。
「にゃあー」
「へ?」
そう、そこにいたのはみんな知ってる猫。かわいくて見るだけで癒される女の子にも男の子にも人気の猫。その猫が私たちの前にいるのだ、肉まんを咥えながら……
「あ、あれ?その肉まんは、てことはもしかして犯人は。」
「「ね、猫だったのー!?」」
「彼は犯人じゃなかったね。」
「ま、まぁ間違いは誰にでもあることよね。あ、あはは。」
………………
「ご、ごめんなさい。」
女の子は素直に謝ることにしたようだ。
「別にいいよ、誤解は解けたし。それより問題は…」
「この猫をどうするか、だよねぇ。」
(確かに、この猫はお腹がすいてやったんだろうし誰も飼ってないみたいだからまた来るかもしれないし。そ、それなら…)
「わ、私!飼います!」
「え、いいのかい?」
「はい、私一人暮らしだし寂しかったからちょうどいいかなって。」
「そうか、そうしてくれると助かるよ、その猫もね。ありがとう。」
「はい!」
「なら事件もまぁ解決したし面接しようか。君もだね、橘さん。」
「あ、うん。お願い、します。」
「はい、じゃあいこうか。」
突然の事件に突然の女の子、突然増えた新しい家族といろいろなことがあったけどここから私の青春を始めるんだ!いこう!
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