餅と井上氏
吉川小早川両家に元春と隆景を送り込めた。これで少しは家も安泰だろう。あとは嫡男さえ産まれればの。
そう思いながら先日会った隆元のことを思い浮かべる元就。
雫殿の登場によりもう少し夫婦共々積極的になるかと思いきや、あやつらは本当になかなかじゃ…
手元の餅を齧りながらまだ産まれない孫のことを考える。
家の安泰と言えば井上氏も考えものじゃの。
箸の先には好物の餅がある。
餅も時間が経てば固くて到底食べれぬ。そう考えれば、今井上の餅は食べ頃かもの。何十年もこの食べ頃の時を待っていたのだ。そろそろ良いだろう。
箸を動かし餅を口の中に放り込んだ。昔あった井上氏の横暴な振る舞いを思い出してしまい、餅が喉に詰まりそうだった。
妹婿殿は残そう。根絶やしにしてしまえば恨みが残る。
詰まりかけた餅を飲み込み、隆元を呼ぶように声をかける。
隆元やその子供たちが、毛利家の存続へ向かって頑張っていく際に邪魔になりそうなものは減らしておこう。上手く行けばきっと儂が体験したような辛い思いはしなくて済むだろう。
廊下に出てみると数日前より陽が強く感じた。太陽に手を合わせ、目をつぶった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます