妻・尾崎局様

「今いいか?」

 屋敷のとある部屋の前にくる

「はい。」

 という落ち着きのある女性らしい声が帰ってくる。

「急にすまぬな。」

「いえ、いかがなされました?今日は大殿のところへ行くと聞いておりますが・・・」

「先ほど父上のところには行ってきた。局に紹介したい人がいるのじゃ。雫」

「はい。」

「まぁ。」

「岡田雫です。」

「儂の小姓としてこの屋敷に住むこととなった。」

「よろしくお願いします。」

「儂の兄弟のような者だから可愛がってくれ」

「わかりました。"妹"として面倒みますね。女の子を男の格好をさせて小姓にするんですか?」

 !?バレてる!?

「さすが局じゃの~敵わんな。もちろん他言無用じゃ。これは一門しか知らぬこと故実家にはくれぐれも伝えるなよ。」

「もちろんわかっておりまする。雫殿、殿をよろしくお願いいたします。」

「はい。尾崎局様。」

「呼び名は尾崎で構わないわ。」

「はい。尾崎様」

「ところで殿、私と雫殿は似ている気がしますが・・・」

「似とるの。」

 そんなあっさり認めちゃうの!?

「やはりそうですか。」

「では局頼むぞ。雫殿参るぞ。」

「はい!失礼します。」


 はぁ~緊張した。

 どこか敵視されているのか、なんなのか・・・

 居づらい空気だった。

「雫、局はとっつきにくいかもしれんがわからんことはちゃんと局に聞くんだぞ。」

「はい・・・」

「ここがお主の部屋じゃ。儂は公務がある故、一緒におれぬが何かあったら言ってくれ。」

「はい。」

 手を頭に置かれてなでなでされる。

 落ち着く・・・

 とりあえず部屋ででおとなしくしておこう。

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