第1章 Foreword
旅というのはいい物だ。仕事柄、僕は遠くの街や国へと飛び回る事も多く、その道のりは僕の日常的な楽しみの一つになっている。
トラムの車窓から流れる港町の家々を眺めながら、僕は頭の中で住人の生活や都市の歴史を想像してみるという遊びを繰り返している。この半世紀に起こった紛争で街は戦禍を被ったと聞くが、整った街並みはその歴史を全く感じさせない。復興努力の賜物なのか、あるいは戦争自体がクリーンなものとなったのか。そんな思考も、僕の頭の中で繰り返されるパターンの一つだった。
「しりとりでもしようか」僕は隣に座っている彼女に言った。すると彼女は、
「いいですよ、では私から」
と言い、次には
「リン酸」
と言った。
僕は苦笑を浮かべた。
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