風立ちぬ

 緊張しております。


 尊敬する宮﨑駿御大のレビューをするのですから!!



 しかしこれ、やっておかなけりゃなりません。いろいろ思うところあるんで。それとこの映画紹介コーナーの目次が最近カタカナばっかり並んでたんで、たまには日本語の作品やらなきゃ(見栄えを気にするデザイン科卒)




 私はね、ジブリが大好きなんでございます。

 つうか宮﨑駿が好きなんです。


 小さい頃からVHSで未来少年コナン、パンダコパンダ、太陽の王子ホルスの大冒険、犬版の名探偵ホームズ、ジブリの宮﨑駿監督作品は全制覇。もう、本当に彼の作ったアニメが大好き! ナウシカの原作漫画もシュナの旅も当然読んでるよー!!!





 で、ですね。

 この映画、公開された時にいろいろ言われたでしょう。


 やれ子供向けじゃないとか、夢と魔法はどうしたとか、タバコ吸いすぎとか、宮﨑駿の趣味だろとか、声優に庵野を使うなんて話題性に媚びすぎだとか。




 よーしおまえら、ちょっとひとつずつ説明してやっからそこになおれ!!






 まず、宮﨑駿が夢や魔法を提供する心優しい人間だと思っていたらとんでもねえ誤解ですよ。あの人は激動の学生運動世代の、知識人の、金持ちの、偏屈爺だよ!!(尊敬するお方)たしかに子どもは大好きですけど、「子どもの未来はつまんない大人」とか言い切るジジイですよ!!!(めっちゃリスペクトしています!)




 で、タバコ吸いすぎ問題。


 病気の奥さんがいるのになにやってるの?? ひどすぎじゃない?? 全然いい男じゃなくない??? なんて声がちらほら聞かれました。



 あのさあ……



 宮﨑駿がただの「妻思いのいい男」を描くと思います?

「大人向け」と宣言したあの映画の中で???




 小説を書くときに、私は主人公が、本人も周りの人間も意識していない「その人らしさ」をまず考えます。作品内ではっきりと示さずとも、それがあることで物語に深みが出ると思うからです。


 だけど、そういう「その人らしさ」を、ひとりくらいは知っていてもいい。知っている人はおそらく、その人を昔から知っている人、あるいはその人のことを心から愛して、よく観察している人に限られますが、いてもひとりかふたりでしょう。人は案外、他人には興味がありません。




 さて、この映画で主人公を一番よく知る人物はだれですか?




 妹です。




 医者になった妹は、兄に向かってなんと言いますか?




「兄様は薄情者です」と、何度も何度も言うのです。






 この物語の主人公は、いい男でもなんでもありません。


 ただ、美しいものを見たい、作りたいという欲望だけの、薄情者なのです。



 だけど彼は悪人ではありません。そこがこの物語の「深み」です。彼は妻に向かって何度も言います。


「きれいだよ」


 そう言われた時の妻の顔を注意して見てください。なんとも言えない、微妙な顔をしています。彼女は夫を愛していますから、彼が薄情者だということを知っているのです。好きな理由に「きれい」しか挙げない夫を、それでも愛してしまったのです。





 うわああああん!!




 これが映画だよー!!!!






 さて、この映画のすごさをお伝えしたところで、庵野声優問題。



 主人公は先ほど説明したとおり、薄情者で、人間性が少し欠如しているのです。(少し、です。泣いたりはしますから)だからこそ、あの淡々とした、いかにも「演じています」という棒読みが、逆に良くないですか? ドイツ人役をやったアルパートさんも、「こういう外人いるいるw」って思いません??


 宮崎さんはアニメ声優の媚びた演技が大嫌いなので、まあ、ここはアニメではなく「映画」として受け入れてほしいとしか言えませんね。プロデューサーの鈴木さんは確かに話題性のためならなんでもする人ですけど、宮さんは悪くない!(大尊敬)






 長くなりました。



 言いたいことは、私はこの映画を観れて、マジでよかったってことです。


 だって私、ポニョだけは本当に意味わかんなくて、「これが引退作だったらマジで嫌だ!!」とか思ったくちだもの。『紅の豚』みたいな、趣味全開の映画を作って欲しくてウズウズしていたんだもの!!




 だからうれしい!!



 なにあのドイツの飛行機!

 ギガントみたーい!!

 きゃー♥




 あ、また観たくなってきちゃった。

 いい映画は何度観てもいいよねっ♥

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