ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

 間違っても、この映画をスマホのちっちゃい画面や、飛行機の画質の悪い映像で観てはいけません。映像に価値あり! しかしストーリーも価値あり! です。




 主人公のパイは、なんだか半生を見ているだけで笑えてくる少年。


 自分の名前だからと、円周率をどこまでも暗記したり、宗教を三つも平行して信仰したり、それをひょうひょうとやってのけるからいい。



 そのパイの乗った船が難破して、動物たちと漂流するはめになります。


 シマウマ、オランウータン、そしてトラ。


 はじめは漂流したバナナをすくい取って食べ、トラをなだめながらも命をつないでいく様子は、ご都合主義的なところがあまり感じられず、ちゃんと説得力があります。そして身に起こるすべてがファンタジック。



 波ひとつない、水たまりのような凪ぎの海はすごい。

 とにかく水がいいです。

「そのままコーヒーを淹れられるくらいきれいな水のプール」という表現もすてき。


 ミーアキャットだらけの謎の島も、めちゃいい。

 ああいう冒険、鉄板だよねー。



 なんだろう、すべてのエピソードがからまるわけでもなく、しみ込んでいく感じで、実にいい映画だと惚れ惚れします。




 とにかく観て!!





 ラスト、救助されたパイのところに船の会社の人が聞き込み調査にやってきます。これが日本人なんだけど、「いやその話おかしいでしょ。バナナは水に浮かないし」とか突っ込みを入れてくる。「バナナって水に浮かないの? へえ……」という観客の感想をすかさず言ってくれる連れの日本人もいい味出してます(笑)




 で、パイはもうひとつの話をする。





 え!!!!





 このあとの日本人の解釈が、いい!!!!!

 よく言ってくれたぞおまえ!!

 そうだそうだ、きっとそうに違いないよー!!!





 はじめに話した話と、2番目にした話。どっちを信じるか?



 私はもちろん、タイトルを信じますよ。ふふふ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る