第4話
家に帰ると疲れていたのか、布団に入った途端爆睡だった。
目覚ましは毎日なるようにしてたからきちんと仕事の時間には起きれた。
が、碧さんからきていたLINEをみて驚愕した……。
-碧さん-
「今日は楽しかった♡ありがとね!!最後の方甘えたさんだったのは何だったのかな〜?(笑)
明日は一緒にお昼ご飯食べようね٩(๑´꒳ `๑٩)
٩(๑ơ ωơ๑)۶お や す み ▷◁♡*。゚」
正直、昨日の夕方、公園ついてココア飲んだあたりから記憶が怪しい。
ココア飲んでホッとしたのか、眠気が襲ってきていたのだ。
だから、実は結構眠かった……。
あー、会うのめっちゃ恥ずかしい……。
「いってきまーす……。」
うぅ……。会いたくない……。恥ずかしいな……。
まぁ部署違うからなかなか会うことないけど!!
……お昼ご飯一緒に食べることになってるけど!!
とりあえず、仕事場ではポーカーフェイスね。
がんばらなくちゃ。
「おはようございます!」
「田井中さんおはよう。」
「おはようございます、課長。」
「金曜日、大丈夫だったー?だいぶ酔ってたけど(笑)」
うっ……。
課長とか皆さんに迷惑かけてしまったのかな……。
ああああめちゃくちゃ恥ずかしい……!!
「だ、大丈夫です!ご迷惑をおかけしました!」
「いやいや、違う一面が見れて親近感湧いたよ。みんな、そう言ってたよ。」
どうやら私は、イケメンすぎて近寄り難い。と思われていたらしい……。
けど、飲み会での酔った姿を見て、みんな仲良くなれそうと思ってくれたそうだ。
嬉しい。けど、恥ずかしいな……。
次から仕事の飲み会は気をつけなくちゃ。
午前中の仕事はあっという間に終わり、すぐにお昼休みが来た。
はやいよ……。
「田井中さんいますか?」
入口のあたりで声がした。
見なくてもわかる、碧さんだ。
ううー……行かなくちゃ……。
碧さんが来た途端、フロアがざわがつく。
男は碧さんに熱い視線を送り、私を羨望の眼差しでみる。
反対に、女は私に熱い視線を送り、碧さんを羨望の眼差しでみる。
どっちの視線も刺さるように痛い。
あまり目立ちたくないんだけどなぁ……。
碧さんはというと、視線なんて感じません。とでも言うかのように、澄ました顔で私を待っている。
あぁ、どうしたらそんな表情できるんですか……。
その神経が羨ましいです。
絶対に言わないけど。
「お待たせしました。さ、行きましょっか!」
さっさと碧さんと合流し、屋上に向かう。
屋上へ向かう道中も視線がすごい。痛い。
今日は自分でお弁当を作ってきた。
割といつもは食堂で買ったりするけど、碧さんといると結構目立つから……。
「やっぱり、汐織ちゃんは人気者だね〜。」
「え?碧さんの方が人気者じゃないですか。ここまでの道中めっちゃ人に見られましたし。」
「自分で言うのもなんだけど、たぶん美女ふたりが並んで歩いてたからだと思うよー?」
「私が美女??いやいやいやー、碧さんだけですよーそれは。」
私が美女なわけがない。どちらかというと、美男子。
いや、ただの男子でいいや。美 じゃないわ別に。
「もー……。まぁいいか。お昼食べよ!」
「ですね。」
今日のお弁当なに作ったかな。
朝はいつも半分ボーっとしながらお弁当を作るのが最近日課になっている。
そして大体キャラ弁。
割と作るの楽しいし、女子力上がらないかなーとか思いながら、毎日作ることにしたのだ。
まぁ正直、似合わないけど。
だから入社してからはほとんど食堂で食べてたりしてた。
けど、最近やっぱり、栄養のこととかお金のこととか考えて作るようになった。
見られたくないから外に出て食べてたんだけど、今日は碧さんと食べるということをすっかり忘れていつも通り作ってきてしまった……。
「わぁ!汐織ちゃんのお弁当可愛ね!!」
ちなみにキャラクターはキテ〇ちゃん。
今日の気分。
あと、家にあった材料でできそうだつたものがキテ〇ちゃんだったから。
割とうまく出来たと思う。
可愛い。自画自賛。
「自分で作ったの?」
「そうです。こーゆーの作るの好きなんです。」
「女子力高いなあ!それに比べて私は……。」
碧さんのお弁当はまさかのコンビニ弁当。
なんだか意外。ちゃんとお弁当作ったりする人なのかと思っていた。
キッチンも綺麗だったし、ものも揃っていたから。
よくよく思い出すと、使われてた形跡あまり無かったけど……。
「今日はたまたまコンビニ弁当、とかですか?」
「違うの……。いつもコンビニ弁当なの……。」
碧さん曰く、料理はもともと苦手で全然作らないんだとか。
作ろうとしたら大体手が傷だらけになるらしい。
家にあった調理器具は元カノが揃えたものらしい。
「昨日何度か作ろうとしたんだよ?でもね……、このとおり……。」
碧さんの手は絆創膏だらけ。ボロボロだった。
不器用な人なんだな。
お菓子作りとかしてそうなのに。
人は見た目では判断出来ないな。
「なるほど……。」
「栄養偏るし体に良くないから本当は作りたいんだけどねー……。」
だったら……、
「お弁当、作ってきましょうか?」
気づけば口をついてでていた。
発した言葉に碧さんも驚いていたが、私も驚いた。
何を言っているんだ自分は。まぁ、別に苦ではないけど……。
でも、そんな、いきなり言われたら迷惑だよね。
謝ろうとしたら、碧さんのほうが先に口を開いていた。
「えっ、でも大変でしょ?」
「や、1人分も2人分も変わらないですよ。」
「そう?じゃあ……、材料費は払うしお弁当箱は私のあるから!!!」
「わかりました(笑)じゃあ今日食材買って帰りましょ(笑)」
……あれ?
何気にデートの約束取り付けてしまった……?
昼休みを終えて自分の部署に戻る。
やばいやばいやばい。
早まったかな。
早まったよね。
やらかしたよね。
若干パニックである。
「おかえり汐織~。」
「ただいま景美。」
「……大丈夫?なんか、さっき百面相してたけど。」
「えっ?!あ、うん、大丈夫……。大丈夫だから……。」
同期入社で年齢も同じで部署も同じの秋野 景美に心配されてしまった……。
というか、百面相してたのか私。
そんなに表情コロコロ変わってたのかな?
いままでのポーカーフェイスどこかいっちゃったなぁ。
割と碧さんと出会う前まではポーカーフェイスで頑張っていたつもりなのに。
確かに、碧さんと出会ってからは表情筋が柔らかくなった気はする。
今まで気を張っていたのかもしれない。
少し、楽になった気がした。
ぽこん
仕事用のメールアドレスにメールが入った。
送り主は、さっきの景美。
-景美-
なんかいい事あった?
表情が柔らかくなった。
まさか、飲み会でいい出会いでもあったの?(*¯艸¯)
うわぁ、バレてる……。
たしかにいい出会いはあったけど、碧さんだし、男の人ではないし、世間一般の普通ではないよね……。
景美に偏見があるか分からないけれど、流石にまだ喋るのはまずい気がするから、碧さんとの関係のことは内緒に。
-汐織-
そう?
みんなで飲んだからじゃないかな?
この土日もゆっくり出来たし、ずっと気を張ってたからかもね(笑)
とりあえず送る。
またいずれ、ちゃんと話ができたらいいな。
相談に乗ってほしいし。
偏見がなければ、だけど。
難しいなあ。
……って、これじゃ碧さんに恋してるみたいじゃん!!!!
あれ、え?
わかんなくなってきた。
恋ってなんだっけ。
ぽこん
景美から返信が来る。
-景美-
そーぉ?
まぁ、あまり詮索はしないけど~。
てかまた百面相してるわよ(笑)
本当に、景美はいい子だなあ。
んんん、やばいな。
また百面相してたらしい……。
そういえば周りからの視線が……、なんだろう、暖かく見守られてる感じがする。
それよりも、いまは、仕事に集中しなくちゃ!!
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