大学で次元を研究する物理学者の湊崎雅也が、難病に罹った妻の詩帆を救うために見出した方法、それは自分たちの記憶を保持したまま別の世界で人生やりなおす異世界転生だった。世界最高の科学者がその知識を生かして異世界で最強の魔術師に成り上がるストーリーが愉快です。
自身が発明した装置により、異世界の貴族フィールダー男爵の三男クライスへと転生した雅也だったが、次元の狭間を通り抜けたことで、生まれつき伝説の賢者に匹敵する大量の魔力を備えてしまった。さらに物理学を応用した物理魔法という新しい魔法すらも編み出してしまう。
十歳にして赤竜を退治し、十五歳で魔人を討伐し、王立魔術学院に入学する前に間違いなく世界最強。あっという間にパワーインフレしてしまうクライスのチートな強さは、ここまでくればもはや痛快。
ただ問題は、研究にかまけて愛する妻を迎えにいくのを後回しにしてしまっていること。妻の詩帆も伯爵令嬢として転生していたが、彼女を取り巻く環境は最悪で、いつまで経っても現れない夫へのいらだちが募るばかり。クライスと同レベルの魔力を身につけているだけに、ひとたび夫婦喧嘩が起きれば世界がヤバいのでは!? 早く迎えに行ってあげて!
(「結婚はふたりの始まり」4選/文=愛咲優詩)