美少女

瑠輝愛

序幕

ある一人の少年の最期

 ベッドから目を覚ました僕を見た母親が、大きな口を開けてたちまち青ざめた。昨日の天気予報はハズレたのか、どんよりと自室の中が暗く、カーテンが開けられた窓を見ても光を感じなかった。

 母は慌ててスマートフォンを持った。

 口をパクパクさせているのを見て、僕は悟った。

 声が聞こえていない。音が聞こえない。

 何事かと確かめようとしたが、身体を起こせない。右腕だけがかろうじて動かせた。それを見た僕は思わずこう呟いた。

『雪村……雪見……』

 腕が腐り落ち、骨が見える前に意識を失った。

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