第4話 「行く先」

憮然とした態度は許して欲しい。

このポーカーフェイスも。


当たり前である猫に精神を解読されているのだから。


しかしこの顎下に黒い模様のあるカウンセラー猫は、よくあることなのか気にもせず俺に様々なことを問うてくる。


一番古い記憶は?うんうん、じゃあこれで鳥を作ってくれないかい?うんうん、性経験は?


ええ加減にしてくれ。俺はシュールリアリズムは嫌いなんだよ何故よく喋り癖のある相槌を打つ三毛猫の質問に答えなければならないのだ。十代である身、力はまだ拙いが、実寸の猫になら勝てるこのままこいつを殺ってしまいたい。そういった欲望が、衝動が、心の内からドンドコドンドコ和太鼓リズムで沸き上がったが、それをやったらこの冷徹な牢獄より更に酷い、劣悪な場所へ移される、と、瞬時に判断し、堪えながら、猫カウンセラー?カウンセラー猫?の心理テストになるべく素直にピュアーに答えていった。


小一時間の内なる己との格闘の末、猫のわかりましたありがとうございます。の一言で俺は安堵した。が、猫がトカゲ野郎と人間風鼻息に耳打ち、正確には、一体と一人が猫の口元まで上半身を折り曲げて、恐らく分析結果を教えていた。


それを聞いた一体と一人は、即座に檻の鍵を開け、トカゲにおい、付いてこい。と言われ、俺を枷と麻縄的なアイテムで拘束し、一体と一人の後ろを歩かされた。


俺は解放されるのか?と、少しの期待とこの世界に放たれる恐ろしさを二つ持ったまま、両端が檻まみれの道を通った。


そこは悪夢のような空間で、俺が様々な檻を通り過ぎる度に、中に閉じ込められている生き物たち、最初に見た黄緑色の肌の怪物、黒目のない全身を不可能な状態に簀巻きにされた人間風の女、到底檻にぶち込まれるような雰囲気のない青年、が、俺や看守トカゲ鼻息に罵詈雑言を浴びせたり、青い炎を手から出し看守が怒鳴り、奇声をあげたり、と、この道はどこまで続くんだと内心泣いていたが、鼻息の、着いたぞ。の言葉で安寧、自信を持って前を向いた。



純然たる病院が眼前にあった。

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