第2話 「獄中」
人間というものは恐ろしいもので、「慣れ」という言葉があり、先程まで赤子も後ずさりの泣き叫び俯瞰時痛快コメディーで騒ぎ、この二畳半石畳冷風のとても辛辣な、熾烈な牢獄の番人、鱗の光沢と外側にも程がある目と長細い舌で構成されている俺と同じ身長で立つ革製品を着たトカゲ男に、何度も何度も何度も何度も黙れと注意、恫喝されていたというのに、二時間近く経った今は、疲れもあるが、落ち着き払って獄中の詳細、埃の数や入ってくる小虫のあだ名付け、明らかなる掃除の行き届いていない汚いベッドと便器の注視等で、何とか自我を保てている。
何故こうなったのか。俺は昨晩、翌朝の学校へ行く為の支度を済ませ、スマートフォンで寝陥るまで、母が洗濯してくれた健やかな毛布にくるまりながら朝を待っていた。というのに目が覚めると、訳の分からん世界観のいつもではない朝であっという間にその世界の守衛にアザが残る程腕を引っ張られ現在の牢獄だ。
意味が分からん。切っ掛けや前振り、予兆伏線も何も無しにこれは意味が分からん。誰か説明してくれないか。しかし周りの者たちは、俺以外は異分子としてカウントしていなく、当然にこの世界を受け入れていて、説明を、経緯や原因を解いてくれる者など誰もいないようである。
冷たい飯が届いた。食して食さなければよかったと思った。
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