なにか いる

@yuukaizumi40

第1話

なにか、いる。そこに、なにかいる。それは、そこにいる。それは、とても強じんである。それは、確実である。それは、もう長いこといる。おそらくずっと前からいる。その証拠に、私は目がよく見えない。それから、逃げられるか分からない。けど、ためしている。それは、明らかである。それを、それと呼ぶ。それは影のようについてくる。私がそこにいないとき、それはそこに存在しない。それは私の近くにいる。それは移動する。それは、人を動かすことができる。ずっと離れている人でも。それは、私を怒らせたり、それは私を悲しませたり、それは私を心地よくもする。私の感情は主人をなくしてる。新しい主人が、わたしの感情の持ち主だ。    誰か、彼女をたすけて。誰か、彼女を見つけて。彼女は今ごろ、橋の下か、川の中か、どこか暗い場所・・。            それは、彼女の日記から出てきた彼女の走り書きだった。               そして これは、彼女のストーカーの日記から出てきた走り書きである。      『埋め合わせをさせてやる。彼女には、価値があるんだ。彼女はぼくをしあわせにできる、何かをもっている。ぼくの利益を生み出す見込みを、ぼくは、見込んでいる。彼女のことを、今日からホシと呼ぶ。彼女は、ぼくがしあわせになる鍵をもっている。彼女が、預かっているんだ。返してくれないと、困る。』                  彼女から相談を受けた時点では、おとこは、男の要求とは、自分と肉体関係を、持ちたいという単純なものだった。妙に込み入った思い入れをもっているな、と健二は思った。日記はつづく。『ただ、はがゆいのが、その決定権をもっているのが、ぼくではなくて、彼女だということだ。ぼくには、どうすることもできない。だから、苦しいんだ』  健二は、読みながら手に汗を感じた。だから?どうするというのだ。だから、彼女、つまり時東あみの、意思が邪魔だと、いうわけか・・・・。なるほど・・・・。           大沼健二は、ありとあらゆる相談を受け付けてきた。スピリチュアカウンセラーでもあったし、ある時は霊媒師でもあったし、 あらゆる相談に乗ってきた。その中でも、とりわけ、興味深い文献になりそうだった。                                    

 

   














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