4-7-4 メリソスダンジョン④(身内トーナメント②)
どうも、焔です。前回はトーナメント1戦目俺対アスで勝利を収めました。
「次は、香蓮と日影だな」
俺は、伸びているアスを回収しながら、日影と香蓮の居た位置に戻る。
「そうだね、次は私と日影だね」
香蓮は定位置に行き、体を解す。
「香蓮はどこまで成長したのかな?」
「其処らへんは、二人とも戦いの中で知れ。では始め」
二人とも動かない
「あれ?香蓮、動かないの?」
初めから特攻をかけると思っていた日影は、少し驚いている。
「もう動いてるよ。…ほら」
香蓮が手を日影の方へ向けると、日影は膝をつき俯く。
「うっぷ…うげぇ~」
吐き気にえづく日影。
こっちの方へ影響が無いように操作しているのか何が起きているのか分からない。
「ソラリス?だっけ。体内で化学物質を創り出す能力って。くらってみて判ったけどこれって結構厄介だね。効果が出るまで危機察知にすらかからないとかチートじゃん。」
ソラリス。それは裏切り者のスキルの一つの能力で、端的に言うと体内で化学物質を作り出す能力、毒による攻撃や、薬による味方のサポートなどがメインだが、幻覚物質や自白剤など精神攻撃が出来る。
多分今回、香蓮は空気中に創り出した毒を空気中に混ぜたのだろう。しかも無色・無臭+体内に入るまで無毒である効果を加えて。
「でっしょ~私も焔に使われた時には、理不尽感を感じたんだ。」
使った本人である香蓮すら裏切り者の理不尽さに共感する。
「香蓮のそれは、多分裏切り者の理不尽さと主の理不尽さが合わさっただけじゃ…」
さっきまでのびていたアスがいつの間にか復活したのか許しがたいことを言う。
「アス君それは…「「それな」」」
アスに問いただそうとする声にかぶせる様に香蓮と日影が同意の声を上げる。
「よーし、お前ら俺に負けたやつ全員、罰ゲームな。さー殺しあえ、ここで負けた側が罰ゲームを免れるぞ。まぁアスは確定ですけど。」
横でまだ横たわってるアスの角を触りながら戦っている二人に宣言する。
アスの頭に付いている牛の角は獣人系によくある性感帯と言うか敏感な所らしい。
「ちょっ…あるじぃ…ちゅの…らめぇ…」
くすぐったいのか気持ちいのかアスの呂律が回っていないし、体を震えさせている。
「なんで、脱落者がご褒美もらってるのカナ?」
「あれは、終わった後にお仕置きダネ」
ハイライトの消えた目の二人がアスを見つめているがアスは角を弄られているせいで、気付かない
「ふぅ楽しかった。おーいお二人さん止まってるぞ~」
言葉を聞き現実に戻ったのか、はっとする二人。
「アスのお仕置きもあるから早めに終わらせようかな」
日影が挑発的な言葉を吐きながら腕を回す。
何回か回すといつの間にかインドラと戦った時のメリケンサックがはめられていた。
「へぇ~それが話に聞いたインドラを倒したメリケンサックなのね」
香蓮は香蓮で、自分の手のひらに剣を突き刺し、ブラムストーカーの能力で血の剣と血の鎧を創りだす。
「すげー絵面がヤンキーと騎士で草」
二人とも集中しているのか、無反応で見つめあっている。
「っはぁ」
初めに動いたのは香蓮だった。
剣を胸の前で構え日影に白兵する。
「せいや」
上段から日影を切りつけるが日影は最小限体を動かすだけで避け香蓮の体が来るであろう場所にカウンターの拳を置く。
「ふっ」
香蓮の体が横に落ちるように吹っ飛ぶ。
「バロールの効果か…」
日影はガチの戦闘モードに入ったのか淡々と現状を理解する。
香蓮が横に落ちたのは日影が言った通りバロールの重力操作を使い自分の重力方向を横に変化させたのだ。
「マジですか~焔も大概だけど日影も勝てる気がしない」
香蓮は態勢を整えながらも愚痴るがその顔は笑っていた。
「今まで、淡々と仕事と括ってやってきたことがこんなに楽しいって思える時が来るなんて」
香蓮は、楽しそうに笑いながら複数の裏切り者を発動させる。
「これで負けたら私に勝てる可能性が無いから避けられたら無条件で負けでお願いね」
香蓮は俺のほうにウィンクする。
日影のほうにふりかえった香蓮の体は異様な怪物のようになっていた。
「殆ど全部の能力を使ったんだ。」
日影が小さく呟く。
香蓮の体はキュマイラとエグザイルの能力で四足で腕が6本ある奇形な犬のような姿に変わっており、6本ある腕も雷・光・振動・武器・血など他の能力が付与されている。
「GuRuuuuuGaaaaaa」
野生動物のような唸り声をあげながら日影に再度白兵する。
「Gaaaaaa」
射程範囲に入る寸前で急に香蓮が止まる。
すると背中の6本の腕が伸び日影に攻撃をする。
「おもしろっつ」
6本の腕の攻撃を捌こうとした日影が一瞬止まる。
瞬きぐらいの時間のラグだが戦闘でのそのラグは致命的だ。
迫っていた腕の一本が日影を掴み武器を持っていた腕が日影を攻撃し、雷の腕が腹を穿ち、振動する腕が頭を掴む。
「あがぁ」
さすがの日影も香蓮の攻撃は効いたのか小さく唸る。
「Gurxa」
小さく唸る香蓮に呼応するように血のまとった腕が日影の傷口を抉り今まで攻撃していた腕がすべて離れる。
「うわぁぁぁごふぅ」
急に日影が苦しみだしたかと思うと日影の体から無数の血の槍や剣が生まれる。
「えっげつねぇクラスメイトが見たらどう思われるんだろうな。」
俺は、アスの頭をなでながらにやつきながらつぶやく。
日影は、全身から血をとめどなく出しながらも立っていた
「ペッくっそ香蓮だからって舐めてたけどやはり焔製か最初の時よりヤバい性能になってる。これは、私も答えてあげなきゃ」
日影が喋っているうちに傷が癒えていき話し終わるごろには全快していた。
「GUGaaaaa」
再度、腕が襲い掛かってくるが日影の目の前ですべて透明な壁に止められる。
「うるさいよ」
日影が愚痴ると急に香蓮の6本の腕すべてが根元から切り離され香蓮の体に無数の傷をつける。
「それに女の子がそんな汚い恰好しないの」
日影の言葉に従うかのように、香蓮の姿がいつもの人の姿に戻る。
「えっなんで?」
今の現状に一番驚いているのは多分香蓮自身だろう。急に体が傷つき、変身が解除させられたのだから。
「はーい、香蓮の負け、勝者 日影」
香蓮の変身が解除された時点でさっき香蓮が俺に言った負けの条件が成立したため試合を終わらせる。
「日影、言の葉を使いうとは結構ヤバかった系?」
「なんだ。焔は、この技を知ってるんだ。いや~結構成長してたから新しい技でも見せてあげようかと。」
俺の言葉に少し驚きながらも素直に答える日影。
「俺も香蓮がここまでやるとは思ってなかったわ」
倒れてる香蓮にクリエイトで創り出した上着を羽織らせ頭を撫でる。
「それで、焔言の葉って何?」
「そのまんまだよ。言葉の意味を力として発動させる技。例えば…破れろ」
俺は、試しにアスの服を見ながら呟く。するとアスの服が破れ筋肉質の身体が露わになる。
「主、なんで僕で試すのさ~」
「お仕置き」
どういう効果か分かったのか頭をコクコクさせる香蓮。
「それにしてもなんで焔は知ってるの?さっきの日影の言い方からすると日影の新技みたいだし。」
「そりゃ~昔読んだ小説に同じような能力があったからな」
その本では喋ってしまった言葉がそのまま現実になってしまうからと無言だったけど。
「んじゃ決勝戦と行きますか」
俺は、立ち上がり少し準備運動をする。
「日影休憩ほしい?」
「要らない」
「了解」
日影も少し体を解しガチ戦闘態勢に入る。
「ガチモードかよ」
「その為にこのイベントをやったからね。気を抜いたら死ぬよ」
はじめはノリノリに返してきた日影だが最後の死亡宣言だけは絶対零度の冷たさが込められていた。
「なら俺も、本気で行きますかな…モードチェンジ:モード我神」
俺の体から無色でありながら七色に輝いているようにも見えるオーラが溢れ出す。
「まだまだ、限界突破・リミットブレイク」
今まで抑えていた全ての力を開放する。
「へぇ焔、ついに神になったんだ♪」
「なに抜かしてやがる神なんざ誰がなるかバーカ」
俺と日影は、惹かれるように互いに近づき二人とも剣を振るう。
その動きは鏡に映ったかのようにぴったり合っており、外野のアスと香蓮は息を呑み見入っている。
「出でよ全てを壊す魔剣 デュランダル」
「出でよ全てを粉砕する魔剣 ガラディーン」
俺と日影は同時に同系列の別の剣を呼び出す。
俺の呼び出した魔剣 デュランダルは黒と赤の剣で銃と剣が合わさったような刀身をしており柄を捻ることで刀身が変形する。
魔剣 ガラデーンは黄色をメインとした剣でぱっと見は普通の剣だが柄にあるトリガーを引くことにより刀身が開き中にあるドリルが現れる。
「どっせい」
「はぁっ」
二つの魔剣がぶつかり合い爆発が起きる…
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