4-7-2 メリソスダンジョン②

 どうも、焔です。今香蓮と遊んでます。




「行くぞ」




 俺は、新しく作ったモードチェンジというスキルを使う。


 モードチェンジとは、疑似的に行動をモード化し、効率化させるスキル


 メリットとして、スキル補正での効率化のため、自分では考えられないような行動をも出来る。


 デメリットとしてスキルによるモード化ゆえ、単調化し、冷静に観察できる人からすると


 簡単に攻略されてしまう。




「モード:インドラ」




 俺の体に青い雷が落ちる。


 モード:インドラとは、インド神のインドラの神格を模造したモードで、能力:子の中にあるシヴァ及びインドラの能力をメインとするモードだ。


 モードにより、俺の体は青い肌になり青い雷を鎧のように纏い右手に三叉槍トリシューラ左手には金剛杵ヴァジュラを握っている。




「さぁさぁ香蓮耐えて見せろよ」




 俺は香蓮のほうへ向けてトリシューラを振るう。


 トリシューラの矛先から青き雷が飛ぶ。




「まだまだ」




 香蓮は血を用いり青き雷を防ぐが、雷のふれた血が一瞬にして蒸発する。




「甘いぞ香蓮。この力は最高神インドラとシヴァの力が混じったものだから触れただけでも重症だぞ~。」




 俺は笑顔で、トリシューラを振るう。




「ちょっとそれチートじゃない?」




 香蓮は危険性を理解したのか、それとも危険性からキャラが戻ったのか慌てて避ける。




「どーしたんですか?あんなにニヤニヤしながら俺に攻撃してきたのに、ピンチになるとやめてくれというのか?」




 俺は、笑顔でトリシューラを振るう。




「慣れた能力だけ使ってても俺には勝てんぞ~」




 少し可哀そうになったから情報を与えてあげる。




「慣れた…能力だけ?…そうかウロボロス」




 香蓮は、飛んでくる雷のほうへ手を翳すと雷が霞のごとく消える。




「すごい力。制御しようとするだけで私の魔力が吸われていく。」




 耐えきれなくなったのか、あられの無い方向へ吸収した雷を放つ。




「はーいお疲れ様」




 香蓮が青い雷を制御しようとしている間に俺は香蓮の周囲にクリエイト:グレイプニルで作ったグレイプニルを張り巡らしていた。




「ロック」




 言葉と共に香蓮を縛り上げる。




「さぁさぁ香蓮さん、どうしましょうかね」




 俺は手を蠢かせ香蓮に近づく。


 香蓮は今後何をされるのか分かったのか恐怖に顔を歪める




「やめ、近寄らないで、エロ同人みたいなことをすんでしょ」




 香蓮は縛られながら体を動かし、暴れるがグレイプニルは伝説のように動くごとに締め付けが強くなる。




「ぐぇっ」




 締め付けが強くなることで苦しくなったのか嗚咽が漏れる香蓮




「そんなことするかよ。最近頑張ってくれてるから。ちょっと手伝ってあげようかと。」




 俺は香蓮の腹に手を添えると抵抗もなく香蓮の中に入っていく




「んっあっ焔が私の中に…入ってくるぅ~」




 香蓮は頬を紅くさせ体をくねらす。




「あーはいはいそうですね(棒)」




 適当に返事しながら俺は触った臓器を軽く握る




「ぎゃぁぁぁぁいだい、いだい まっタンマタンマ死ぬ痛みでショック死する」




 涙を流しながら体を離そうとするが逃れられない。


 痛み付けることが目的じゃないからすぐに力を緩める。




「次、馬鹿な事言うと心臓握るからな」




 香蓮は涙目でブンブンと首を振る。




「はぁ本題に入りますかな クリエイト:スキルプレゼント」




 頭の中で香蓮の体の中に入っている手から香蓮にモノを渡すイメージをする。




「スキルプレゼント」




 スキルプレゼントは読んで字のごとく、自分の持っているスキルを複製し、相手に譲渡するスキルだ。


 スキルの発動自体なら体の中に手を突っ込む必要はないが、スキル効率を考えた結果突っ込んだ。…決して趣味では無い。




「よし、これで終わりお疲れちゃん」




 俺は香蓮の体から手を抜き香蓮の頭を撫でる。




「焔、私の体に何を…うっ」




 香蓮は何をされたのか、探している途中で急な吐き気と頭痛に襲われたのか頭を抱えながらうずくまる。




「そーなりますよねーとりあえず香蓮目を瞑れそれだけでも楽になる。」




 蹲れながら、力強く目を瞑る。




「よーし深呼吸して落ち着け。」




 香蓮は指示に従うように何回か深呼吸する。




「焔、本当に私の体に何をしたの」




 急に襲い掛かった吐き気や頭痛の理由を求めてくる香蓮




「今から説明してやるから待て。


 まず初めにお前に使ったスキルはスキルプレゼントだ。これは読んで字のごとく対象に自分のスキルを複製し、付与するスキルだ。」




 俺の説明にコクコク頷く。




「んで、問題は付与したスキルだ。付与したスキルは3つ、一つは高速演算。


 これは思考の高速化をするスキルで簡単に言うと瞬時に物事を考えることのできるスキルだ。


 次に、並列思考だ。これは複数のことを並列し考えることのできるスキルだ。


 最後に、視覚拡張だ。これも読んで字のごとく視覚の性能を拡張するものだ。


 多分吐き気と頭痛に見舞われたと思うがそれは純粋に視覚が拡張されたせいで酔ったのと視覚からえた情報を高速演算したせいでオーバーフローしたのだろう。」




 俺の説明を聞き自分の体で何が起こったのか理解する香蓮。




「まぁ~対処法があるわけでもないから慣れるしかないが…仕方ない」




 俺は香蓮の視覚拡張の弊害を治すためにとある行動をする。


「クリエイト:ブラックボックス」




 ブラックボックスとは、黒い箱を作るスキルだ。だがこのボックスは中が空頭になっており元からそこに合ったものを中に収納するスキルだ。


 壁は消費MP量によって強度が変わり壁代わりに使うこともできる。




「空間指定完了 ブラックボックス」




 香蓮を中心にブラックボックスを作成する。作成者である俺からは中が見えるが香蓮からすると急に暗闇に入れられた状態だろう。




「香蓮、目を開けてもいいが暗闇の中で驚くだろうが安心しろ。」




 香蓮が目を開けていいと言われ目を開け、案の定暗闇の中で驚いている。




「今から視覚拡張の訓練をします。まずは顔を動かすなよ。」




 俺の言葉に頷く。


 俺は香蓮の真後ろ、顔を動かさないと見れない場所に数字の3を作り出す。




「問題です。後ろにある数字を答えなさい。」




「3」




 香蓮は頭を動かさず、即答をする。




「では、一回目を瞑り、頭の中で、視覚拡張を切ってから目を開けてみよう」




 俺の指示通り一回目を瞑り、何かを呟き目を開ける。




「では問題、後ろの数字を答えなさい」




 俺は新しく9を作り出す




「えっ分からない」




 香蓮は驚き振り向く、そこには9が浮かんでいる。




「位置は動かしてないぞ~それが視覚拡張の効果で、吐き気の原因だ。今まで見えなかったものが見えるようになったせいで、車酔いの様に脳の処理に差異が生まれたんだ。」




 俺の開設に理解したのか何度か頷く。




「では再度、視覚拡張して」




 香蓮は目を瞑り視覚拡張を入れる。




「とりあえず今からは再度、頭を動かすなよ」




 俺は指示を出しながら9を動かす。


 香蓮の頭は動かないが目だけは数字を追うように動く。




「では、もう一つ」




 今まで動いていた9が球に変わり反対側にも、もう一つ球が生まれる。




「今の状態なら目を動かさんでも両方追えるはずだ。」




 香蓮は、頑張って頭を動かさず球を追っていたが途中で辛くなったのか目を閉じ視覚拡張を切る。




「なぁ香蓮お前、視覚拡張しか使ってないだろ?」




 俺の質問に初めは?を浮かべ考えている。




「…そうか、並列思考と高速演算を使って、左右を別処理にすればいいのか。」




 高校の時に情報処理の授業すらほぼ100点の香蓮なら即解ってくれると思ってたんだがな。




「なら、それが正しいかやってみようか」




 香蓮は目を閉じ、再度目を開ける




「すごい、まったく別の場所を見てるはずなのに、両方両目で見てるように、明確で頭も痛くないし、酔いも無い」




 香蓮は、すぐに、スキルの制御を覚えたのか一番初めの酔いが嘘のように慣れ始めている。




「もう大丈夫そうだな。ブラックボックス解除」




 香蓮を囲っていた黒い障壁が消える。


 周囲の情報の多さに少しぐらつきながらも香蓮は立ち上がり、少し目を慣らそうとする。




「…よし、準備完了。ありがと焔」




 香蓮は、俺に抱き着き、頬にキスをする。


 とても柔らかかった…うっ何処からか殺意を感じた。




「あっそんじゃ、ヘンゼルとグレーテルも次に行けって言ってますし行きますか」




 俺が指さす先には、初めに入ったような扉があった。




「そうだね。」




 香蓮と俺は肩を並べて扉に入る




「…なんで日影とアスが居るんだ?」




 そこには、俺たちが戦った偽物ではなく本物の日影とアスが居た。

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