4-7-1 メリソスダンジョン①

 どうも、焔です。前回双子の豪邸へ行きました。




「この豪邸ほしい。すっげー住みやすそう。」




 今俺たちは、玄関ホールに居ます。


 玄関ホールはテレビなどで見る洋風の豪邸のように正面に左右に分かれた二階への階段があり、左右、正面に部屋に続くであろうドアがある。




「んでなんで、玄関ホールに扉があるんだ?」




 素晴らしい玄関ホールだが何故か真ん中にフレームもない扉が4つ置いてある




「ご丁寧に人数分置いてくれてあるし、入るか。」




 俺は笑顔でドアノブに手を掛けようとし、香蓮に抑えられる。




「待って焔、少し考えよう。まず初めに、扉しかないんだよ開けて入ったところで、何もあるはず無いじゃんね?」




 香蓮が何か言っているが全く耳に入らない。




「嫌じゃー俺は遊びに来たんじゃー。目の前に罠が有ると分かってたら行くに決まってんだろー」




 俺は、抑えてる香蓮ごと、扉を開け、中に入る。




「ちょっ私まで~」




 香蓮が離れようとするが謎の引力で、一緒に飲み込まれる。


 また、空間移動され、荒野のような場所に飛ばされる。


 目の前にさっきまで掴まっていたはずの香蓮が立っている。




「ねぇ、焔ここどこだろうね?」




 香蓮はこちらを見、不安そうに聞いてくる。


 俺は無言で香蓮のほうへ行く。




「ここから出…ぐぇっ」




 剣を振り上げ香蓮に向けて振り下ろした。


 俺は、躊躇なく香蓮を殺した。




「その声で、その顔で、その姿で居るな偽物、今すぐ死ね」




 香蓮の偽物が驚いたような顔をする。




「゛な゛んで?」






「まぁ本物だとしても後で蘇生させてやるから、死ねよ」




 その言葉とともに再度、剣を振りかざし喋れない程切り刻む。




「これでいいか、ヘンゼル・グレーテル」




 俺は、多分見ているであろう二人に呟く。


 俺の言葉に呼応するかの如く世界が歪み別の場所に飛ばされる。




「なんで焔、私を襲うの?」




 飛ばされた先で香蓮は俺の偽物の攻撃を防ぎながら問いただしていた。




「…」




 俺の偽物は何も答えず、ブラッドメタルの様に多種武器に変化する物を使い香蓮に攻撃を続ける。


 傍から見ると人間味が無い機械的な動きだが、当事者からすれば、今まで居たものに急に襲われ、観察力が無くなっているのだろう。


 面白そうだし、もう少し眺めてよ。




「なんで何も言ってくれないの」




 そりゃ~俺じゃないですもん


 香蓮は泣きそうになりながらも、偽物の攻撃を全て防ぐ




「もういい、焔が何も言わないなら、ぶっ倒してでも、その口開かせてやるぅ」




 何も言わない俺の偽物にキレた香蓮はモルフェウスで作ったであろう短刀で躊躇なく、自らの左手を刺した。




「っつ~」




 左手からはとめどなくどくどくと血が流れる。


 流れた血は手から落ち地面に落ちる前に宙に無数の球となりとどまる。




「本当は、こんなことしなくても出来るけど消費MP的にこっちの方が効率いいんだよね」




 いつの間にか左手の傷は癒えており、左手を上へ上げる。


 それに呼応するかのように無数の血の球は重ならないように漂う




「覚悟してよ焔! モルフェウス」




 香蓮の叫びと共に無数の血の球は剣となり偽物の方へ切っ先を向ける。




「行くよ 剣奏」




 香蓮が指揮者の様に手を振るとそれに付随するかの如く剣が飛び、偽物を切り裂く。


 その姿はさながらオーケストラの様だ。


 初めはガードや避けて耐えていた偽物だが次第に追いつけなくなり、最終的に、全身を県に貫かれ、体から剣を生やした状態で絶命する。


 偽物の周囲は偽物の血とモルフェウスの効果が消えて血に戻った香蓮の血で大きな水たまりが出来ている。




「わーおえっげつねぇ~」


「えっ⁉」




 俺の声に驚き振り向く香蓮。


 その目には少し涙がたまっている。




「えっ焔が二人?」




 香蓮は今しがた殺した偽物と俺を何度か見比べながら言う




「お前が戦っていたのは偽物だわボケェ、俺がそんなに弱いわけないだろうが阿呆」




 俺の言い方にイラっとしたのか言い返そうとしてふと止まる香蓮。




「ねぇ焔、そんなに弱くないってことは私と焔の偽物との戦いを見てたって事?」




 瞳から光がすーっと消え、血の水たまりが蠢き、水面を揺らす。




「おん見てたぜ、お前が「なんで何も言ってくれないの」って泣きそうになってる所らへんからな。」




 香蓮の成長を見るいい機会だし、少し挑発してみるか。




「それってほぼ全部じゃない。」




 香蓮が怒ったのかぷるぷるしながら怒鳴る。


 呼応するように血がトゲトゲとする。




「ということは、ほぼ最初から居た俺に気付かず居たと…ざっこww」




 ブチッ!


 聞こえるはずの無い何か切れる音が聞こえた。


 香蓮は線の切れた操り人形のように手や頭に力がなく垂れている。




「死ネ」




 急な発言とともに血が大量の剣や斧と言った多種の武器に代わり襲い掛かってくる。




「殺したいなら殺して見せろ、雑魚」




 俺は香蓮を挑発しながら襲い掛かってくる血の武器たちをブラッドメタルで作った双剣で迎撃する。




 周囲には金属同士のぶつかるガキンッと言った音が響き渡る。




「少しは能力を上手く使えるようになったようだが…甘い!」




 俺は、急に迎撃をやめ、香蓮の攻撃をわざと受ける。


 偽物のように全身を貫かれ、体の隅々に武器を生やしたような状態になる。




「あっれ~焔、殺したいなら殺してみろって言っていながら弱くない?」




 香蓮は怒りでキャラが変わったかのような口調になる。




「ぐぇっへ~やっぱり、慣れないなぁ」




 武器に貫かれながらも平然とする。まぁブラフマーストラを受けてる身からするとそこまで辛いものでもないが、絶え間なく体から血が流れる感覚だけは未だ慣れない。痛いというよりなんかどくどく動いてるような感覚にとらわれる。




「さ~焔、どう殺されたい?希望する死に方を選ばせてあげる♡」




 うっわ~すげー香蓮さんがヤンデレっぽい感じになってる。


 瞳からハイライトが消えていながらすごくいい笑顔してやがる。




「んじゃ、逆処刑で」




 俺は、笑顔で体から生えている武器の操作権、所有権などのほとんどの権利をハックし、奪う。




「よーし、では反撃と行きますか。」




 今までのボロボロが嘘のように傷が癒える。




「よーし確保」




 俺は奪った血を紐のように変化させ香蓮を捕縛しようとする。




「そんなもので私が捕えられるようになると思っているのですか。」




 ぴょんぴょん飛びながら迫る紐を避け、時には弾き捕まる気配が無い。




「元からこんなんで捕まるなんて思ってねーよ」




 挟み撃ちのように紐とは反対から香蓮を攻撃する。




「甘い!」




 香蓮の周囲が急に重くなる。


 香蓮のほうを見ると香蓮の横には黒い眼が浮かんでいる。




「バロールか」




 黒い球を用いり重力を操る能力。血の紐を動かそうにも動かない




「慣れすぎじゃないっすかぇね香蓮さん」




 俺は重力に逆らいながら香蓮に拳戦を挑む。




「せいっはっ」




 型や流派などない効率を重視した我流の拳法で香蓮に攻撃するが悉く捌かれ、避けられ、防がれる。




「焔とここまで戦ったことないけど。やっぱり焔も私と同じ闇の人だぁ」




 ハイライトの無い瞳で恍惚とした表情をしながら淡々と攻撃を防ぐ。




「人を攻撃することに躊躇なく、慣れている感じ、やっぱり焔と来て正解だった。」




 なんで人はこういう時に最もいい笑顔をするんだ。




「香蓮、楽しそうな時にすまんがもう飽きたから終わらせるわ」




「そんなこと出来るんですか?」




 俺の言葉にニヤニヤしながら香蓮が挑発してくる。


 香蓮、お前一回も俺に勝ったことないんだぞ…




「んじゃ、有言実行しますかな」




 俺は後ろに飛び香蓮と距離を開ける。




「いっきますよー」




 今までのへらへらした状態から真剣な顔をする。




「行くぞ、クリエイト、モードチェンジ」




 クリエイト、それは俺と言うか元創造神:日影の能力で日影を使役するようになったことで使えるようになった能力で名の通り創造する能力だ。


 創造するのは、スキル・能力・称号と言ったステータス面や武器、日用品と言った道具まで多種多様に創ることができるが生きているものを創ることは多分出来るないだろう…試したことがないが。




「行くぞ」

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