第38話 新たな風が吹く
新入生の入社式が終わってたくさんの特殊動物飼育員、アニマルガールの飼育員か増えた。
一人の飼育員に二人のアニマルガール。
これで約80人近くのアニマルガールに担当飼育員が付いた事になる。
……この半分の人数を私とピューマで回してたんだよね。
頭おかしいよね。
学校ならまぁ何とかなると思うんだけど、家庭教師みたいに住む場所に向かっての授業だから……ねぇ。
私とピューマで分けた教育途中の子と未教育の子をセットにして新人飼育員に担当させる。
もしも飼育員が未教育の子のお世話に戸惑ったりしても、教育途中の子が助けてくれるかもって算段なのだ。
いやー、楽になったよ。
ピューマ達はもう半分自立してるし、私のやる事なんてほとんど……
あれ?
私のお仕事無くなってない?
もしかして、お払い箱!?
だけど、そんな私の心配は直ぐに解消されることになる。
「うん、なるほどね。喧嘩しちゃったのか」
新人飼育員達がお仕事を始めてから直ぐに私の下へ新人飼育員が相談にやってきた。
「はい……全然勉強に集中してくれなくて……ついカッとなってしまって……」
まぁ、確かに勉強させるのは難しいからねぇ。
「……話が変わるけど、どうして勉強が必要何だと思う?」
「えーと、将来のため……ですか?」
「うんうん、そうだね。大正解!でも、それは“ヒト”に取って必要なだけでアニマルガール達には必要な事じゃ無いんだよ」
じゃあどうして教育カリキュラムが組まれているのかって顔してるね。
私もしーらない!
「もし、ヒトと生きていくつもりなら必要になる事もあるだろうけど、必要な時になって初めて必要だって気が付くからね。……経験ない?あの時もっと勉強しとけば良かったーみたいな?」
「あ、あるような……」
今、ちょっとだけ口元がひくついた気がする。
言われずとも勉強してきたタイプか!
だから、言われても勉強に身が入らないアニマルガールの気持ちが分からないんだ。
と、なると……
「よし!分かった!アニマルガールのやる気を引き出す必殺技を伝授しよう!」
「必殺技ですか!?」
前のめりになって聞いてくる新人ちゃんの前に必殺技を繰り出す。
喰らえ!
「クッキー?」
そう、繰り出したのは何の変哲もないクッキー!
それを真ん中で綺麗に2つに割る。
「1÷2は?」
「へ?あ、2分の1です」
「せいかーい!口開けて。はい、あーん」
「あ、あーん」
新人ちゃんは戸惑いながらも素直に口を開けてくれたので、クッキーの片割れを食べさせた。
「大切なのはね、興味を引く事とご褒美を用意することなんだよ。あの子達は野生で生きる術はもう知ってるからね。だから、お勉強はお遊びじゃなきゃ。楽しくないと続かないよ」
「なるほど……ん?あれ?これって犬とか猫の躾とほぼ同じじゃ……」
気付いたか……
さすが、優秀な新人ちゃん。
「あの子達って見た目だけなら私達とほぼ変わらない女の子だけど、中身は動物だからね。言葉が通じちゃうから忘れがちになっちゃうけどね」
まぁ、私の場合はアニマルガールに変化した日からの付き合いだったから人って感覚はあまりなかったけどね。
「あの子達には人でも動物でもなくアニマルガールとして接してあげて。最初はちょっと難しいかも知れないけど……まぁ、そこは気合いとか慣れって事で!頑張れ新人!」
「ありがとうございました。色々為になりました!見た目中学生で不安でしたけど、流石は先輩ですね!」
「……オイコラ、なんか聞き捨てならねー言葉が混じってたんですけどぉ!?」
直後、新人ちゃんは風になって逃げ出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます