Outside the diary Part 2
「わたしはピューマ。こーはいちゃん達、よろしく!」
「……Sだ。よろしく」
相変わらず謎の少女Sはイニシャルで押し通すつもりらしい。
「な、中々個性的な名前ね」
ピューマも若干引いてるし……
「わたしはオオウミガラスだよ。よろしくね!」
「よろしく!こう見えてもわたしはジャパリパークじゃ一番古株のアニマルガールだから、何か困ったことがあったら相談に乗るわよ」
「一番古株って言ってもアニマルガールになってから一年も経って無いじゃん」
「……フレ……アニマルガールが現れたのは最近の出来事なのか?」
「最近って言えば最近かも。Sちゃんは研修で色々説明を受けたんじゃないの?」
「……覚えはない」
アウトォオオ!!
「ちゃんと真面目に研修は受けろぃ!!一応、命を預かる職業なんだから、ちゃんとしなきゃダメだからね」
「……承知した」
ち、ちゃんと分かってくれたのかなぁ?
「ところでなんだけど……オオウミガラスなんて何処で見付けてきたの?絶滅種なんてこのジャパリパークでも居ないし、そもそも例え居たとしてもあの有名なオオウミガラスが人と一緒にいるのが信じられないんだけど……」
「そんなに有名なのか?」
え?
まさか知らないでオオウミガラスと一緒に居たの?
「有名も何もリョコウバトと並んで有名な逸話が──」
謎の少女Sの後ろ側からオオウミガラスが人差し指を口に当ててこちらを見ている。
言うなってこと?
「あ、あーそうだ!実はオオウミガラスってペンギンって呼ばれてたんだよ。しかも、元々ペンギンってオオウミガラスの事だったんだけど、いつの間にか今のペンギン達のことになっちゃったの」
「そーなんだー」
オオウミガラスなのにそっちの話は知らなかったんかい!
その後も色々とお喋りをしてたんだけど、なんか色々とズレてるような気がする。
絶滅種がなんで居るのかも不思議だけど、謎の少女Sも中々に不思議な少女だった。
良く見てみると、パークガイドの制服も使い込まれているように見える。
ジャパリパークの職員なのに不思議なくらい動物に対しての知識がない。
「えー!ピューマちゃん、ペパプ知らないの?」
「初めて聞いたわよ。そもそもペパプって何?」
「あいどるだよ!ペンギンのあいどる!歌ったり踊ったりとにかくなんかスゴいんだって!ジャパリパークで知らないフレンズなんて居ないよ」
ジャパリパークでそんなアイドル生まれてたの?
私の預かり知らぬところで何かしら良からぬ計画が進んでるのかな?
トチ狂った企画部が企画しそう。
しばらく、進んでいくとパークセントラルの入口に辿り着く。
自転車だとそれなりに早く着くけど、歩きだと時間が掛かるね。
「お?おおおおお!!動いてるよ!!なんかあのでっかいの動いてる!!」
「……観覧車か。あそこからならセントラルエリアを一望できそうだ」
パークセントラルの大きな観覧車を見上げてオオウミガラスは感動しているけど、謎の少女Sは特に何の感動も感じてなさそう。
冷めてるー
「ちなみに!乗るならお金が掛かるよ」
「お金?」
ありゃりゃ、オオウミガラスはお金を知らないと来ましたか。
となると最近アニマルガールになった子なのかな?
「……つまり今で言うジャパリまんの事だ」
「なるほど!」
え!?
今ので分かっちゃったの!?
て言うかジャパリまんって何?
「ジャパリまん?しーくいんさん、ジャパリまんって何処かで売ってるの?」
「いや、そんな商品初耳だから」
頭にジャパリ付けとけばジャパリパークっぽくない?的なジャパリパーク特有のネーミングから間違いなくうちの特産品だ。
「ジャパリまん食べてみる?」
そう言ってオオウミガラスはジャパリパークのシンボルマークの付いた肉まんみたいな食べ物。
うん、間違いなくジャパリパーク産だ。
オオウミガラスからジャパリまんを受け取ったピューマは少し匂いを嗅いでから口の中へ入れた。
「あ、これ美味しい!超美味しい!」
「美味しいの?待って!私も食べたああああああああ!?かった……」
ジャパリまんに夢中になったピューマは私の目の前でパクパクモグモグとあっという間に完食してしまった。
……いいもん。
後で探すから!!
「……」
ピューマがジャパリまんを食べ終わったタイミングを見計らったように謎の少女Sがサッとジャパリまんを私に差し出す。
「ありがとう!」
やったぜ!
私も早速ジャパリまんを食べてみる。
おほー!!
こりゃうみゃい!!
運営の奴らめこんな美味い商品を開発したんならとっとと私達一般職員に知らせてくれても良かったのにー!
「……ところで、実はそれは中々手に入らないんだ」
……謎の少女Sが私がジャパリまんを食べ終わったタイミングで発言をする。
「……観覧車に乗たい」
貴女の奢りで
言葉には出してなかったけど、間違いなく目がそう言っていた。
タダより怖いものはない。
その格言を思い出したのは私の財布がダイエットを始めた直後の事だった。
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