フレンズ日和(仮題)

空想現実主義

アニマルガール誕生!!

第1話 ファーストコンタクト!

 ここはジャパリパーク。

 海底火山の噴火で出来た島々に様々動物集めて巨大なサファリパークにしちまおうぜって言う企画から始まった巨大な複合テーマパーク。


 そして私はそんなジャパリパークの動物飼育員。

 今日は先日新しく搬入された動物のお世話。

 基本的にサファリで放し飼いとなる動物達ではあるが、最所の1ヶ月くらいは檻の中で飼うことになる。


 理由は不明だけど、こうすることにより不用意に他の動物を襲うことは無くなるらしい。


 私は以前数ヶ月勤めていた動物園の時と同じような生活を送っている。

 数ヶ月と言ってもクビや退職になった訳ではなく、スペシャリストな先輩にホイホイ付いて本土より離れた小島に島流し!って訳である。


「うぇるかむとぅーようこそシャバり……ジャパリパーク!」


 と、少し音痴な歌を歌いながら私は自転車で仕事場へ向かう。

 居住区の建物も段々と増えてきており、野性味溢れる景色が私の知ってる景色へ近付きつつある。


 近代化やっほい!


 軽快に自転車を漕いでいると、私の隣をネコ科の動物を模したバスが通過し、中に乗っている先輩が私に向かって手を振っていた。


「……え?えぇ!?バスぅ!?」


 昨日まではバスなんて走ってなかったのに!!

 おのれ近代化!!

 私は立ち漕ぎモードに移行してバスの後を意味もなく必死で追う。


 そして、多大な体力と引き換えにいつもより5分ほど早く仕事場へ着いた。


「せ、先輩、どうしてバスが?」

「ん?先週試験的にバスを走らせるって回覧が回ってたでしょ?」


 あれ?そうだったっけ?


「ちなみにバスが海の中を潜航出来るようにする計画もあるそうだよ」

「……それ、本当にバスなんですか?」


 このジャパリパークでは動物の研究以外にも様々な研究が行われている。

 特に注目されているのがサンドスターと言う未知の物質について。

 それを利用した技術で代表的なのは気候制御システム。

 そのシステムのおかげで日本にある島でありながら、アマゾンみたいな密林地帯や南極みたいな氷の大地が存在している。


 端から見れば魔境にしか見えないが、こうした複数の環境があるおかげで、ジャパリパークでは世界中のどんな動物でも暮らせるのだ。


 さて、そんな難しいことは私にはどーでもいー事なので、ライフサイクルの一部となりつつある動物の餌やり。


(ご飯の時間ですよー)


 と、小声で呟きながら檻の中に入る。

 私が担当している動物の中でピューマがいるのだけど、何故か私を見ると襲ってくるので慎重にならざるを得ない。

 たぶん、嫌われている訳ではなくなつかれていると先輩は言うのだが、本当なのだろうか?


「????」


 檻の中にピューマの姿は居なかった。

 居なかったんだけど、代わりにネコのコスプレ美少女が檻の中にいた。

 檻の中に閉じ込められていた美少女も気になるが、そんな事よりピューマが居なくなっている事が10倍ヤバい。

 多少人に慣れているとは言え猛獣である。

 ピューマに怪我をさせる気はなくとも、じゃれつかれたら人は大怪我をする。


 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!


「わーい!ご飯だー!」


 どうしようか考えてる内に美少女が飛び掛かってきて、私が手に持っている生肉をガブリ。


 って生肉をガブリィ!?!?


「ミャアアアアアアアアアアアア!?!?」

「ニャアアアアアアアアアアアア!?!?」


 私の絶叫に合わせて美少女も驚いて絶叫を放ち絶叫のハーモニーを奏でる。


「アアアアア!!って!!叫んでる場合じゃないぞイツキ!!ここにいたピューマ見なかった!?ってか何で檻の中に居たの!?」

「ぴ、ピューマ?ピューマ……あ、ピューマ!わたしよ!わたしがピューマ!」

「んな訳あるかぁ!!」


 自称ピューマの生肉モシャモシャ系美少女の戯れ言は捨て置き、私はとりあえず美少女を連れて事務所の方へ行く。


「外に出て良いの?後、残りのご飯ちょーだい」

「野獣にでも育てられたんか!生はいけません!食べれません!」

「モシャモシャ」

「ああ!もう!お腹壊しても知らないから!」


 ともかく、報告連絡相談!

 先輩達にピューマが逃げ出した事と美少女が代わりに檻に閉じ込められていた事を報告しなければ!


 と、思ったんだけど!


 事務所に戻ったら皆物凄く慌ただしくなっていて、まさにパニック寸前と言った感じだった。


「みんな忙しそうね」

「そ、そうだね」


 美少女はのんびりとした様子で言うが、私はどうすれば良いのか分からずに呆然とする。


 ど、どうしたら良いんだろう?


 いつもと違う事務所の様子に戸惑っていると、先輩が私に気が付いて声を掛けてきた。


「い、イツキくん?もしかして、その子が動物の代わりに居たとか言わないよね?」

「え?は、はい。ピューマの代わりに居ました」

「マジかよぉ!ここでもかぁ!」

「え、えーと、先輩、私はどうしたら……」

「とりあえず!君はその子の面倒を見てて!なついてるみたいだし!動物の方はこっちで何とかするから!」

「は、はい!」


 訳の分からないパニックが終息したのはこれから5時間ほど経った後の事だった。

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