共著



 ここから先は私と僕の共著になる。


 夜中を思う千葉時代。ここから私の先カンブリア時代に入っていく……。


 妻との共著。

 迫り出した美術館の作品群が僕の立体感を交錯させる。

「すべからくして不合理主義は肯定されねばならぬ」

 やってくるものと対話しなければならない幾重にも連なる感覚の秩序の混乱。

 やがては悲し、夜はやさし。


 胸幾ばくにも刻んでいる拍動。

 私がために夜はつれなくなって、藍色に染まりゆく逢魔時は私。

 去りゆく者たちにゆきずりはなし。


 見晴るかす大空の体躯が神経を微分させて頂きより落ちる。

 プリズムのきらめきはアクエリアスの口をつけた先から滴っていつしか静かなる美を極め。

 いっそのこと清々しく朝日に飛び込んで散って行ってしまえば楽かもしれない。


「始まりはいつしか一緒に歩いた漂流者の浜辺」

「終わりはいつもの通りの裏路地」

「カーテンは水濡れてはにかんだ笑顔を向けたように見えた」

「心なしか人の姿に見えた、著しい少子高齢化にもかかわらず」


 ぼてっとした体型のまま人々は歩いていく。脂肪を落とすために。横断歩道を、表参道を駆け巡る。


「それは偽の論文です」

 宮沢賢治の言語発生学的な研究を読んでいたところそう言われた。


 ボカロの曲を頭が痛くなるまで聴き続け、僕は作家デビューを飾るだろう。


 末代まで祟る。


 ラジオ体操の歌が頭の中に掛かる。周囲は無音で何も聞こえない。

「一、二、三、四、五、六、手足の運動……」

 僕の心の中は夏休みだらけ。世間は辛い冬の風が吹いている。


 濃密な表現と浅薄な表現の濃淡をつけることによって、私たちは世界を初めて認識する。

 新世界を理解するための理論的な構築。


 俺たちは朝の風を飲み込む。下腹部がぎゅるるると伸縮運動をする。それにつれて痛みが襲ってくる。

 僕はそこで目を覚ます。"Oh, my god!"

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