単著
単著という観念について、あるいは単著という概念について説明せよという要請を受けて駆け付けた支援部隊は、皆武装しているように見えたのでエイリアン達によって抹殺させられ、その亡霊が跋扈する魔窟が出来上がってしまった。その魔窟は羽毛布団でできた小さな巣穴であり、ふわふわした剛毛のような空間設計になっている、仮に設計という言葉が意味を持つとしてだが。空間中において、我々が意図すべきは単著の出版ではなく単著の設計であり、世界そのものの測量が必要なのである。私は僕の髪を撫で付けながら言った、たとえ隣の芝が青く見えたとしてもそれはペンキに染まっているだけだ、あらゆる物質が憑依して亡霊と化すのは目に見えている、と。唯一生き残るのは観念という観念のみであり、概念という概念のみである。活動家はあらゆる言葉を尽くして言うだろう、言い尽くしがないかどうか、それを言葉を使って探ろうとするだろう、あるいは心を使って、だから最初から言い尽くしなんてないとわかったとき、もはや単著という概念は言い尽くされているのだ。そのようにして測量した、空間に反響する私の声を集音し、反響定位を行って。今世紀、流体力学の諸方程式の解明が、反響定位による空間認識を可能にするだろう。それはスーパーコンピューターでさえ不可能であったコウモリの空間認識を実現し解明する糸口となるのである。かくして単著という概念をも解明されるのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます