透明な小説 c

 ネウロマティック(neuromatic)、という造語を考える。ネウロマ(neuroma)が神経腫という意味なので、ネウロマティックは神経腫的な、という意味合いの形容詞に相当するだろう。電話の配線のコードが神経的、つまり常にネウロマティックな可能性を孕んでいるのに対し、人参の神経線ないしは遺伝子のコードは、可能性はおろか常にネウロマティックであるだろう。なぜなら、人参で検索すると出てくるキーワードに『外国人参政権』というものがあり、確かにそこには神経腫的な人参の不透明性が発揮されているためである。

 ここで我々が見渡すべきなのは、透明な小説の存在の放下そのものであり、存在者が存在へと下るまでの道のりと、存在が非存在へ下るまでの道のりとが交錯する、まさにその瞬間なのである。

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