天空の理想郷

悟谷原 操志

プロローグ 遥か彼方の理想郷

天を舞う六鳥

 人類が地球の恩恵を受け始めてから数千年、もう地球は増えすぎた人類全てに満足に恩恵を与えることはできなくなっていた。次第に資源は枯渇していき今までの生活を維持できなくなった時、人々の間に起ったのは秩序の崩壊だ。

このままでは人類は限られた資源を争いながら、地球と共に滅びの運命を待つのみかと思われた。

そんな時、以前からこの事態を見越していたある賢者たちがある行動を起こした。人間の英知の全てを結集させ空飛ぶ六つの大地、『天空都市』を創り上げたのだ。

それは人間が今までの生活を維持できるだけの環境が揃う、まさにノアの箱舟だった。

しかし当然箱舟に乗れる人数は限られていた。それでも人々は得体の知れない賢者が創った得体の知れない箱舟への乗船権を掛け人々は争った。

そしてわしたかはやぶさはとすずめふくろう、それぞれ六匹の鳥の名を冠した六つの天空都市はほんの一握りの人々を乗せ飛び立つ。

そして顔すら見せない賢者たちは自らを『六翼むよく』と名乗り六つの理想郷を統治し、地上に残された人々を飛べない鳥……『人鳥ぺんぎん』と蔑み一方的に虐げた。


これが俗に言う『羽ばたきの日』である。

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