春に誘惑、桜に恋を。

私の目の前に桜を見上げる青年がいる。

「春香はほんとに桜が好きねぇ」

「そりゃ綺麗だからな」

桜に眼を向けたまま春香が答える。

そんな彼にふと悪戯心が芽生える。

「じゃあ、同じ名前の私も好きなのかしら?」

にやにやと慌てる反応を待っていたら春香は微笑み、

「桜が好きで、桜に恋をしてるよ」

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