樹華
テイル
君との出会い~プロローグ~
友達に連れて来られたのは“開かずの扉”
保健室と工務室の間にあり、昼間でも薄暗いその場所は気味が悪かった。
「な、何だよ…」
「いいから。いいから。こんにちは!!」
友達が勢い良く扉を開けた瞬間。フラッシュバックでも起こしたような強烈な光に飲み込まれる。それが日差しだという事に気づいたのに数秒掛かった。
映し出されたのは狭い部屋。普段使っている教室と比べると物凄く狭く感じる。家の一室のようなそんな感じだ。
しばらく経つとようやく目が慣れてきて部屋全体が見渡せた。
友達は窓際の椅子に座る40~50代くらいの先生のような人に
「こんにちは。また、来ました」と話し掛けながら窓際へと向かっていた。
そんな友達の様子を見ていた僕は何かを感じてに左を見る。
そこにはテーブルと椅子があり、椅子に座っている彼女がこちらを見ていた。
一目惚れだった。
一目惚れ?
変な違和感があった。彼女の顔に見覚えがあったからだろう。
こちらを見る不安そうな怯えた目。伸ばしたままの長い黒髪。
一人のクラスメイトを思い出した。
野田桃華。
彼女とは1年生の頃から3年生までずっと同じクラスだ。同じ班にもなった事もあったし、隣の席になった事もあったはずだ。話した事もある。
なのに、どうして、3年生になった今。一目惚れしてしまったのか。
何故かはわからない。
気づいたら、「この人だ。」って思っていた。
「こ、こんにちは」
絞りだして言えたのが挨拶だけだったとは我ながら口下手にも程があるとノリツッコミをしてしまった。
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