第23話 2節 オリンポス惑星の住人(4)

「ジリュウ、あの星に行って。ねえ、ヒロ、あの星で休憩きゅうけいしようよ」

タリュウの中にいるヒロに向かって、マリがうったえかける。


「マリはもっと我慢がまんできると思っていたけど、無理だったか」

「あの星が、どれだけ地球に似ているか調べてみようよ」

ヒロとケンがほとんど同時に反応した。


「地球に似た惑星でも酸素があるとは限らないから、宇宙服を来て行きなさい」

遠くからシュウジの声が聞こえると、ヒロの体が透明とうめいの宇宙服でつつまれた。


「これは透明で軽い宇宙服だ。映画で見たものより、ずっとカッコイイや」

ヒロが喜んでいると、サーヤ、ケン、ミウ、マリ、ロンも透明の宇宙服に包まれた。


「宇宙服の背中の部分が、酸素ボンベになっているみたいね」

ジリュウの中にいるミウが、マリの宇宙服の背中をさわって言った。


地球に似た惑星は雲におおわれている。

雲の下の地表に近づくと、岩山と湖がいくつも見える。


最初にサブリュウの口から、ケンが出てきた。湖の近くに降り立つと、強い風に体を押される。

「おーい、すごーく風が強くて、寒いぞー」


ヒロ、サーヤ、ミウ、マリ、ロンの順に湖の近くに降り立ったが、強い風に吹き飛ばされないように、みんなで手をつないで輪になった。


「誰が、地球に似ているなんて言ったんだい?」

ヒロがからかうと、マリはロンの後ろにかくれて言った。


影宇宙かげうちゅうから見たら、雲が見えたから、地球に似ているって思ったのよ」


「休憩するなら、きれいな湖のほとりがいいよね。でもここは寒すぎる気がしない?」

ミウがそう言うと、ヒロ、サーヤ、ケンが笑う。


「あの岩山、富士山より高いんじゃないの?あれ、頂上から煙が出ているよ」

後ろの山を見上げて、ロンが言うと、ヒロが顔色を変える。


「あれは火山だ。変な音が聞こえる。爆発ばくはつして噴石ふんせきが飛んでくるかもしれないから、岩陰いわかげに隠れよう」


ゴーッという音が大きくなり、地面がぐらぐらとれ始めた。


「きゃーっ、あぶなーい」

まっ先に、マリが大きな岩の陰に向かって走る。

ミウとサーヤも続いて走った。


「あっ、岩がってくる、サーヤ、危ないっ」

とっさに、ケンがサーヤの手を引っ張った。

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