第5話 1節 アトランティスの最期(4)

「そうね、早く母さんに会いに行きたかったけど、高校生になるまで待てって、校長先生に言われたよね」

サーヤが小声で話すと、ミウとケンがうなづいた。


「高校生になったから、ヒロのお母さんに会いに行けるって、ほんと?」

マリの後ろから、科学好きのロンが顔を出した。


「あーっ、なんだよ、ロンか・・・びっくりさせるなよー」

ケンが、おおげさにおどろいてみせた。


「今日の放課後、夜になる前にサーヤと一緒に母さんの所に行こうと思うんだ」


そうヒロが言うと、ミウがあわててヒロの両肩をつかんだ。

「そんな急に行かなくても・・・校長先生に許可してもらったの?」


すると、サーヤがミウに笑顔を向けた。

「昨日、ヒロとわたしの他に、ミウとケンの許可ももらったよ」


「あー、わたしも一緒に行きたかったのに・・・」

マリが、ため息をついた。


「大丈夫だよ、マリ、僕も行きたいから校長先生にお願いしてくるよ」

ロンが、マリの肩をポンとたたいて校長室に向かうと、マリも後を追って歩き出した。


「ごめんよ、マリ・・・母さんの所に行く途中で、どんな危険なことやこわいことが起きるかわからないから、マリには残ってもらおうと思ったんだよ」

ヒロがマリの後ろから声をかけた。


「大丈夫よ、わたしはヒロが思ってるほど弱くないから」

マリは、ヒロにほほえみ返して、ロンの後を追って行った。


放課後になって、ヒロ、サーヤ、ミウ、ケン、マリ、ロンの六人がそろって学校を出た。


「サーヤと僕は、夜になる前に出発するって、ばあちゃんに言ってあるから、かばんを置いたらすぐ神社のほらの前に行くよ」


ヒロがミウ、ケン、マリ、ロンに言うと、ケンとミウが応じる。

「俺たちも親に伝えて、すぐに行くよ」

「わたしも、すぐに行けると思うよ」


マリは、とまどいながら言う。

「わたしは初めてだから、お母さんもお父さんも心配するかも・・・」


「じゃあ、わたしがマリと一緒にお願いするよ」

ミウがマリの手を握って、安心させる。


「僕は、父さん母さんを説得する自信があるから、心配しなくていいよ」

ロンが強がりを言うと、ケンがロンを茶化ちゃかす。


「ロンは理屈っぽいから、親もあきらめているんだろう?」

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