第9話 俺たちの秘密

「俺はある組織への潜入捜査官だった。」

「どこの?」母さんが言った。

「えっとな、○△□だ。」

「はい?」

「だから○△□だ。」

「言えないんですか?」

「あぁ。」

「すべて話すって言いましたよね?」

「この組織名を聞いてもしょうがないだろ。」

「なら、関係あるのをすべて話してください。」

「それでホントにいいのか?」

「沙耶、拷問の準備しといて。」

「明子さん、それは勘弁してくれ。」

「沙耶、早くやって。」

『浩平兄ちゃんと母さんの命令だからね〜』

「頼む!やめてくれ!沙耶!」

『どうしましょうか。』

「早くやって。」

「お前達はクローンなんだ。」

『私は既にロボットですけど?』

「沙耶さんは、前に生きてただろ?」

『まぁ、そうなるのかな?』

「そのデータはサーバーに保管されてるんだ。」

『で、それがどうかしたんですか?』

「恐らく、君たちの母さんを助けた人は俺の部下だった鳥元だ。」

「鳥元さんの居場所を探して。」

『鳥元さんは・・・』

「リザ・・・いや沙耶を作った翌日に死んでいる。」

「まさか・・・!」

「あぁ、そのまさかだろうな。」

「サーバーの場所は?」

「俺にもわからない。」

『私にもわかりません。』

「ハッキングは?」

『逆探知される可能性が高いです。』

「それを防ぎながらはできない?」

『向こうには私よりも高性能のロボットがいるはずです。』

「そうね・・・」

――俺たちに出来ることはないのか

「一つだけ手段はあるかもしれないぞ。」

「なんですか?」「なに?」

「でもリスクが高すぎる。」

「この時点で死にかけてるんだから大丈夫よ。」

「え?そうなの?」

「今まで監視していた人間が消えてるのよ?」

「だから?」

『にぶすぎませんか?』

「え?どうゆうことだ?」

「浩平はわかるわよね?」

「えっと〜いない奴らを探すために国が情報操作して、俺たちを指名手配しているかもしれないということかな?」

「よく分かったわね。」

「マジで?」

『マジです。』

「じゃあ、どうすんの?」

「私に任せておきなさい。」

「まさか・・・あそこに行く気か・・・?」

「そうよ。」

「あそこだけはやめた方が・・・」

「あそこがいちばん安全でしょ?」

「そうだけどよ・・・」

「なら、決まりね。」

「えー」

『確かに安全でしょうね。』

「なんで、沙耶が知ってんの?」

『小さい頃に連れてってもらったことがあるから。』

「生きてた頃か?」

『今も生きてるんだけどね・・・』

「そ、そうか。すまん。」

『謝らなくていいんだけど、ぬいぐるみがたくさんあった気がする。』

「だから、嫌なんですか?」

「いやいや。ぬいぐるみはいいんだが・・・」

「沙耶、他になんかあったのか?」

「確か・・・犬がいた。」

「犬がダメなんですね?」

「いや、ちがうよ?」

「ならなんなんですか!?」

『猫がいたかも知れません。』

「そう、正解!」

『はい?』

「俺は猫アレルギーなんだよ。」

『健康診断を見ると・・・ムグムグ!』

「嘘ですね?」

「違うぞ!?」

「嘘ですね。」

「違うぞ?」

「こちょこちょしますよ?」

「嘘です。」

『その通りです。』

「とりあえず、行くわよ?」

「「はーい」」

俺はそこが想像以上の場所であるとは思わなかった。

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