『あまずっぱい、女系初恋オレンジ』


オレンジのかおりする緑の丘に


やってきた。


「そらがたかくてあかるい青だね」


なぜあらためて?とくちにもせず

かるく眼で訊いてそっぽ向く。

そんなに冷たいたいどないんじゃない?

そう、いってやりたいけど

いまはそのときじゃないから

あたしのくちよ、だまっていろよ

「いそいではしって、ころばないでよ」

「だいじょうぶ、ガキじゃないんだからさ」

と、なのにおおごえあげてはしりおりていった。

まるで、ガキ、

田舎道、

女の子、ふたりのほかはだれひとりいないなぁ

ってかんがえてると、

ミーナも同んなじことおもってたみたい

急にたちどまってふりかえって

あたしをまって、

あたしのよこに並んで立って

オレンジ畑にむかって

「あなたが、好きだぁーッ!」

って大声で。

そりゃ嬉しいけどさ、

「あ、あなたって……

ちゃんとなまえがあるでしょう?」

(ちーちゃんがすきです……)

こえ、ちいさすぎ。

ていおうと尖らしたくちびるを

くちびるでふさぐって、やるじゃん、

大好きだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る