ライジングサン

 老婆の熱り。熱射。泡吹いて気狂う。俺それ見て狼狽。気狂う。



 明日から始めようとしていたことが今日になってしまうのを防ぐ惰眠という素晴らしき文明を用いて俺瞼塞いで心中ダンシング。


 死に絶えろライジングサン。


 明後日よ訪え。



 そういったコミカルな漫画で生計を立てている俺の調度品の中身は尽きて、牛乳飲みに銭湯行こうとお気に入りのジーンズとダウンジャケットで八月の茹で(うで)に立ち向かい、玄関開けて開始六秒でTシャツに着替え虫スプレー体中に振りまきながら川沿いをそこそこの汗で髪濡らす。



 ふと眼前に婆ァ。


 ふと注視すると婆ァ泡食うてる。


 恐ろしき光景。


 あまりの恐ろしきに通報試みるもダウンジャケットのポケッツにインサイダー。


 あかん。


 婆ァ目の前で死ぬ。


 俺救護の資格も習いも関心もない人間故、見様見真似の心臓マッサージ行使するも老人の骨密度忘れて嫌な音がいっぺんに鳴り響く。



 婆ァの死の手伝いしてもた。


 生きとるか?


 息は浅いがまだしとる。


 俺、走って交番まで虫スプレーと汗振りまきながら取り乱しの説明して巡査さんに付いてきてもらう。走って。振りまいて。




 帰り着くもそこに婆ァはいなかった。


 俺と巡査は小首傾げて辺りを見渡すも痕跡、泡も吐血も無く、さらに傾げる。


 巡査は事件性感じて署で話を一から俺に要求して俺それに応じて夜遅くの帰宅。



 何やったんや。



 玄関開けたらジャケットのポケッツが明滅。



 汗拭い携帯電話取り出しもしもし。




 相手方開口一番打ち切り。




 婆ァの祟り。

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