短編小説『此岸椿』
桑原縛逐
第1話
辻で出会った花椿。
それはうつつのものか、はてさて、六道の辻あたりから飛んできた幻を見たものだろうか……。
日もとっぷり暮れかかる逢魔時。子供の頃なら一陣の風に物の怪を感じ、ちょっと怖くなって街についた明かりを頼りに家路を急いだものだ。
では、今はどうだろう……。
今宵、京都の街を歩く私には、何か起きる予感が既に有った。
…もののけも通ふか小径秋の暮…
私は鉄道博物館を後にして、梅小路公園を通り七条大宮から烏丸七条まで寄り道しながら歩く事にしたのです。
梅小路公園を出て大宮通の歩道を左に二百メートル歩いただろうか、人通りのない日の暮れかけた逢魔時の怪しさの中に、電燈色を煌々と放つ店の前に通りかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます