一期一会

留学すると、全ての人との出会いが一期一会であると痛感する。


クリスマスの日に、私は一人で部屋ベッドに寝転がっていた。


せっかくのイギリスで過ごすクリスマスだというのに、特にすることもなく、部屋で天井を見つめていた。


何かしなくては、せっかくのクリスマスが台無しになってしまうと思った私は、大学に向かった。


大学のある部屋で、楽しそうにクリスマスパーティーをしているのを見つけた。


輪の中に入るのを少し躊躇したが、勇気を出して参加した。


そこでは、地域の方々が、集まってクリスマスパーティーを開いていた。


日本からの留学生を暖かく迎えてくれ、サンドウィッチをご馳走してくれた。


初めて会う人の中には、日本に行ったことがある人や、日本語を勉強中の人など、意外にも話題に変わることはなかった。


楽しい時間を過ごし、寮の部屋に帰ろうとしたら、ある家族が私を呼び止めた。


「今から、家でクリスマスパーティーをするんだけど、よかったらあなたも来ない?」


初めて会った私を快く家に招待してくれたのだ。


断る理由のない私は、そのまま車に乗って、家族の家に向かった。


クリスマスパーティーのご飯を一緒に作ったり、ゲームをしたり、まるで家族の一員のようにもてなしてくれた。


たった一人ぼっちだったクリスマスが、外に出ただけで、最高の思い出になった。


帰国した今でも、彼らとは連絡を取っており、いつかは私の家族を連れて、会いに行きたいと思っている。



留学先だけでなく、どこでも人の出会いは一期一会だ。


一期一会の素晴らしさを教えてくれた家族に感謝の気持ちでいっぱいだ。

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