エピローグ
「巫女なの?」
「そうだけど?なに、もしかして私の顔忘れたとか?」
「いや、そんなわけないでしょ。唯、びっくりしただけでね」
「そう。で、なんの自信があるの?」
「あー、えーと………言わないとダメ?」
「別に、言わなくてもいいけど、そしたらどうなるか…………」
あれ?巫女ってこんな感じな子だっけ?
まあ、いい。ここは言っておいたほうがいいのだと思うし。
「わかったよ。実はね、私とある小説大賞に応募したんだよね。それで、今日が一次選考通過者発表なの。だから、通ってるかなーって言う自信だよ」
「そういうこと。それなら、たぶん琴葉なら大丈夫だよ。だって、琴葉の小説は面白い。それに、琴葉が『私の想いが君に届け!』っていう小説っていうのを書いているんでしょ。その小説の反響は凄いみたいだからさ」
「え?なんで、それを知ってるの?」
私は、この時間でネット小説をどこかに上げたことはなかったはずだ。
それなのに、なんで巫女が私が書いたって知っているのだろうか。
「な、なんで私が書いたってことを知っているの?」
「ん?ああ、だって、琴葉が高校時代に使っていたさ、学校のパソコンにあったでしょ『私の想いが君に届け!』っていう小説あったでしょ。あの時読んだ時とは変わっていたけれど、バットエンドがハッピーエンドに変わっていた。まあ、私的には、ハッピーエンドが好きかな」
私が、巫女を部室に呼んだのは、確か1回だけだった。それで、その時たまたまこの『私の想いが君に届け!』という小説を読ませたんだと思う。
それに、私がほっとした。
ハッピーエンドが受け入れられて。
それに、バットエンドのことも覚えてくれていることが嬉しかった。
「あ!そういえば、聞きたかったことがあったんだよね。最後のコメントあったでしょ。あれに返信、琴葉も思い切ったことしたね」
それは、質問というよりも唯事実を言っているだけだった。
………これは、絶対私をからかおうとしている時の巫女だな。
「私をからかう気なんでしょ?」
「あ、ばれた?」
「やっぱりね」
なんというか、こういうやりとりをするのは心が落ちく気がする。
「………でも、本当よく勇気を出して書いたね」
「うん」
それから、私達は、会っていなかった間のお互いの話しをした。
*
そして、しばらくの間実家に帰っていなかったのだけど、私はある報告をしに今実家へと行く途中である。
私は実家帰るまでの道を遠周りで帰った。
実家帰りたくないとかそういうのじゃなくて、敦君の家に言って敦君のお母さんに挨拶をしたかったから。
そして、敦君の家の前。
私の頭に中で、タイムリープした時に、最後に敦君の家に行った時のことが思い出されていた。
………あの時は、この扉から敦君が出てきたんだっけ?
そのあと、敦君に1日限定の彼氏になってもらったりもしたかも。
それ以外にも、いろいろな光景が、思う浮かんだ。
そんなふうに思い出していたら、無性に悲しくなって、いつのまにか私の頬には涙が流れていた。
………このままじゃあだめだよね。
そう思い、私は涙を拭い、インターホンを押した。
「どちらさまでしょうか?……琴葉ちゃん?」
「はい、そうです」
「あらあら、綺麗になったね」
「ありがとうございます」
それから、敦君のお母さんに私は、敦君が死んでしまった時に私が起こした、行動などについて謝罪をした。
敦君のお母さんは、終始笑顔でいいのよと言ってくれていた。
それで、私がもうじき帰ろうかと思っていた時である、敦君のお母さんが
「もし、よかったら、敦に話しかけてくれないかな?」
「いいんですか?」
「ええ、琴葉ちゃんが話しかけてくれたら敦も嬉しいだろからさ」
「ありがとうございます」
そうして私は、敦君の部屋に行った。
敦君に部屋に入ると、仏壇と遺影以外なにもなかった。
私は、仏壇の前に座ると
「ねえ、敦君、私の小説に応援コメントありがとうね。本当嬉しかったから」
それからも、私は、自分の近況などを話した。
「最後に、本当にありがとうね、敦君」
そして、私は敦君の家をあとにした。
*
「ただいま」
「あ、おかえりなさい。瑞樹、お姉ちゃんが帰ってきたよ」
お母さんが、そういうと瑞樹が私に向かって走ってきて、突進してきた。
そして、こういうのだった。
「お姉ちゃん、おかえり!」
「うん、ただいま。瑞樹。それと帰ってくるの遅くてごめん」
私は、仕事に就いてからというもののなかなか実家に帰っていなかったから、もう2年あっていないことになる。
「ううん、別にいいよ」
そう言って瑞樹は、私の胸に頭を押し付けてきた。
そして私は、瑞樹の頭を撫でてあげた。
そしたら、とても嬉しいそうな表情をした。
そんな姿がとても可愛かった。
「あ、そうだった。お母さん。私ね、本を出版できることになったの」
「本を出版できるすごいわね。琴葉。高校時代から小説書いていたのが、良かったのかもね」
「うん」
そして、家族全員で食事をし、雑談をした。
でも、時間は進んでいき、帰る時間になっていた。
「じゃあ、私、もう帰るね」
「え?もう帰るの、お姉ちゃん?」
「うん、明日も仕事があるからね」
「そっか。それは仕方がないことだね。でも、また早いうちに帰ってきてよ」
「わかった。それは、約束するよ」
「約束だからね」
「うん、約束。………それじゃあ、私帰るね」
そして、私は家族に見送られながら家をあとにした。
夢見喫茶店 夏蓮 @ennka
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