1日目─登校─
目を開けると、そこには懐かしい、少しだけ昭和を感じさせてくれる天井があった。
「…………本当に過去に戻ってきたんだ」
私は過去に戻ってきたことを驚くと同時に、無性に気になったことがあった。
今は何月何日なのだろうかと。
だが、生憎それをすぐに知るすべはない。
分かるとしたら、今が何時かが分かるぐらいだ。
部屋に掛かっている時計を見る。時刻は、7時30分。
確か私が高校生1年生の時は、これぐらいの時間にお母さんが私をお越しにきたはずだ。
「琴葉起きなさいよー!」
そしてまもなくして扉の側から少し眠たげば声が聞こえきた。
そして私は、クローゼットの中に掛けてある制服を手にとった。
……これってコスプレとかになるかな?
など思いながらも着ないわけにはいかないので制服に着替えた。
リビングに入ると、コーヒーとイチゴジャムが塗られた食パンを左右に持ち、机の上には新聞を置きながら、新聞と朝のニュースを交互に見ているお父さんと、もうすぐ小学2年生になる妹が無邪気にお父さんの真似をしている。違うところと言えば、新聞が絵本になっているってところとニュースを見ずに絵本に釘付けになっているところ。そして、お母さんが1ページ読み終わるくらいのタイミングで次のページへとめくっていた。
…………こんなんだったなー。なんか懐かしい。
妹は、絵本から顔を上げて、私の存在に気づくと左ほっぺにイチゴジャムをつけながら
「おねえちゃんおはよう!」
と言ってくる。
「おはよう。
「ありがとう」
私の表情は、無意識に崩れてしまう。
「いつもありがとうね。琴葉」
「うん、別にいいよ」
「…本当お姉ちゃん子なんだから……」
お母さんはとても嬉しいそう言った。
私には少し込み上げくるものあった。
最近では、なくなってしまった温もりを感じることができて。
「あ、そういえば今日って何月何日だっけ?」
「6月10だけど?」
「ありがとう」
つまり、彼が死ぬ1週間前っていうことか。
「そんなことより琴葉早くご飯食べなさいよ、
ああ、そうか。そうだった。
あの頃の私は、親友の巫女と一緒に学校に行っていたんだっけ。
「うん、わかったよ!」
そのあと私は急いで朝ごはんの食パンを食べ終わると玄関まで走っていき
「じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい」
「おねえちゃんいってらっしゃい」
お母さんと妹からいってらっしゃいと言われながら家を出た。
家を出るとそこにはセミロングの髪型がとても似合うの私の親友が立っていた。
私は、手と手を合わせて頭を下げながら
「ごめん、待った?」
と言った。
巫女は、顔の前で手を左右に振って
「いや、別に待ってないよ」
と言ってくれた。
「そっかーそれは良かった……」
「うん、じゃ行こうか」
「そうだね」
それから私たちは少し無言で歩いた。
そしたら、巫女が唐突に
「時間跳躍って本当に出来ると思う?」
「それって俗にいうタイムリープって言うやつ?」
私は唐突だなーと思うと同時に私の身に起こっていることだと思った。
「そう。よく小説とか使われるやつだよ。で、それって本当に可能なのかなーって」
前の私だったらそんなの出来るわけないよと秒で否定していただろうけど………元に今私がその
「え、えーと、タイムマシーンで過去には戻れるとか聞いたことあるから、その時間跳躍もできるじゃないの?」
私は、とても曖昧に答えた。
「確かに、その話し聞いたことあるかも。でもさ、タイムマシーンで過去の時間旅行する場合ってさ、過去に唯単に戻れるだけで、元時間軸に戻れないんでしょ。それに、過去に戻ったことで、その人が関わる全ての未来が変わるもんでしょ。でも、タイムリープで時間旅行する場合はさ、過去に戻るっていう共通点はあるけどさ、それだけでしょ。唯単に過去に戻るだけじゃなくてしっかりと元の時間軸に戻ることができるし、未来も変わらないっていうもんじゃないの?」
確かに言われてみればそうだ。
タイムリープは、唯過去に戻るだけで、未来を変える力なんていうものはない。
でも、タイムマシーンで過去に行ったとしたらどうだろうか。
タイムマシーンの場合過去に戻るだけで帰ってくることができず、そして未来を変える力を持っている。
「可能はどうかはわからないけど、じゃあもし巫女がするならどっちがいいの?タイムマシーンで過去に戻るのと、タイムリープで過去で戻るのとだったら」
「私は、タイムマシーンで過去に戻りたいかな。確かに元の時間軸に戻ってくることは無理かもしれないけど、でもさ、想い人がいて、でも伝えることが出来ず別れたらさ、普通だったらそのままだけど、タイムマシーンで戻ることが出来たら、未来を変えることだってできる。
つまり、想い人に想いを伝えることが出来て、その後もなにか関係ができるかもしれない。それってもの凄くいいと思わない?」
巫女は、とっても自慢げに言ってきた。
「私はいいとは思わない。だって、その人の未来を変えてしまうことになってしまうから。もし、その人がもう幸せな家庭を持っていたとしたら?もし順風満帆な生活を送っていたら?そう考えるとやっぱり人の過去を変えるなんてことはいけないと思う」
私は巫女とは真逆なことを言った。
そしたら急に巫女が笑い出した。
「なにさ」
「はは、いやさ、そんなに真剣に答えなくたって言いのにって。これ唯の私の妄想だよ。そんなにね現実に起きてるみたいに言われてもね、私が馬鹿馬鹿しくなるでしょ?」
「あはは、ごめん、なんか真剣に考えちゃって」
「別に謝ることでもないと思うけど。それよりかさ、遅刻しそうだから走ろ!」
「え、本当!?」
「うん、あと10分くらい」
「それ、やばいよね!?」
「そうだね。それに今日は校門の前に鬼の番人と言われている
「わかった!」
そして私たちは走り出した。
………こんな風に走ったのはいつぶりだろうか。
最近は外に出ることも少なくなっていたから、風を感じることができてとても気持ちいい。
それに、鬼瓦先生って懐かしいな。
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