2-5

 ドアノブが回る。

「お前ら、早……っ!」

 パンパーン!! と大きな破裂音が部屋中に響く。

 俊太はわずかに目を見開いたまま固まった。

「二十歳の誕生日おめでとう! 俊太」

「おめでとー。俊太の驚いた顔、久しぶりに見たかも」

「……あ、お、おう。なんか、悪いな……」

 そう言って、俊太は少し不自然な動きになって、そろそろと中へ入ってきた。なんとも居心地の悪そうな表情だ。彼は今、猛烈もうれつに照れている。

「はい、プレゼント! 私と佳くんで選んだんだよ。三人お揃い!」

 駄目だ。顔がニヤけてしまう。

「ほら俊太、開けてごらんよ」

 佳くんは自然な微笑みを顔に貼り付けている。さすが役者だ。

「お、おお、サンキュー」

 まだ少し困惑気味の俊太が、ゆっくりと包みを開けていく。

 そして、

「おい、何だよこれ」

 普段の俊太に戻った。

「ほらほら、私たちも~」

 そう言うと、小さな食器棚から例のカップを二つ取り出して見せた。私のは淡いピンク、佳くんのは淡いグリーン、そして俊太のは淡いブルーだ。

「わぁ~、仲良し♪」

 佳くんが拍手をしながら俊太に笑いかけた。

 俊太が笑い返しながら震えているように見えるのは、きっと気のせいだ。絶対に気のせいだ。

「はい、じゃあ、お弁当食べよう! 私、唐揚げ持ってきたから皆で食べよう。俊太、それにジュース入れようね! 二十歳だけど自転車乗るからジュースね。あ! ケーキケーキ!」

 彼に有無うむを言わせず、バースデーパーティーは始まったのだった。

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