関原不動商店街

 台風が近付いていると言いつつも、そこまで雨も風も強くないので、散歩に出掛けた。私の散歩欲は台風如きでは止められない。

 いつもは上野から西に向かう私の散歩だが、今日は趣向をがらりと変えて北千住からさらに北を目指した。駅を出て、歩き出して直ぐに荒川に突き当たった。荒川と隅田川は危ない。例えば北千住から王子を通り、池袋へ向かう時に、尾竹橋を渡らないとえらく遠回りになってしまう。分かり辛いなら千住大橋を通ると良い。

 話も道も逸れたが、今日渡ったのは西新井橋である。河川敷の高架下でバットを振る少年たちを横目に見ながら、荒川沿いを西に歩いたのである。この時私の意識としては小菅駅の西の方に居て、東武スカイツリーラインとは離れたところに居るのだろうな、と漠然と思っていた。

 橋を渡った私は、何だか珍妙なキャラクターに惹かれて、関原不動商店街へと歩を進めた。台風が来ているというのもあって、何処も彼処もシャッターが下りていて、何だか町中が私を拒絶しているようで大変愉快であった。それにしてもこの商店街が長い。歩いているうちに雨脚も強まってきた。そろそろ帰ろうかと考えているうちに、見覚えのある景色が広がってきて、気が付けば西新井駅に着いていた。北千住と西新井は東武スカイツリーラインの駅だが、間に小菅、五反野、梅島があり、四駅も歩いたつもりはないので、私は狐につままれたような気分であった。

 家に帰ってから調べてみると、東武スカイツリーラインは南北に真っ直ぐ通っているものだとばかり思っていたが、小菅から西新井の間はそうではなく、むしろ西に向かって線路が伸びていた。関原不動商店街は北へ向かってほぼ一直線であった。つまりは、北千住から西新井橋へ向かっているときに、小菅から梅島までの距離は稼いでいて、商店街を通って北に向かったために西新井に行きついたということであった。この説明で理解できるか不安である。

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