春分

 完膚なきまでに春が到来している。忌々しい限りである。汗湧き虫踊る季節が今年もやってきてしまった。これから半年もの間日差しに焼かれなければならないとなると、外に出るのが億劫である。まあまあ、楽しみもないではないのだが……。

 今日は上野と池袋の書店に足を運んだが特に気になるものは無かった。むしろ道中の、上野公園、飛鳥山公園、神田川沿いの桜の方が心を動かされた。ソメイヨシノがじき見ごろを迎えそうである。それとは対照的に大寒桜は既に葉桜になっていたが、それはそれで味があるものである。満開の桜は見事であろうが、それしか楽しめないようでは心に余裕がないと言える。

 一度でいいから桜を見ながら酒が飲みたい。

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