　今日は海でも見るかということで、上野、日本橋、銀座、汐留、とひたすらに南へ向かって歩いたりすると、いつも竹芝駅の辺りで「ああ。レインボーブリッジの近くまで来たのか」と思うのだが、そこからレインボーブリッジへはそこそこの距離があり、「あれ、こんな遠かったかな」と何度も何度も性懲りもなく思ってみたりしている。市ヶ谷から御茶ノ水へ行く時もこれと同じことが起こる。どうやら私の脳内地図は同じ景色が続くと波線を引いて省略してしまうようである。

　こんなことがあった。一時期よく通っていた道なのだが、何という道で何処に有るのかが全く思い出せないのだ。特に目立った建物もなくて検索しようも無かったのだが、坂があり、池袋駅の近くだったような覚えはあった。最近になって偶然通りかかって思い出したのだが、そこは菊坂であった。その名の通り坂ではあるのだが、春日駅の近くであって池袋駅とは全くもって関係が無い。大方、池袋駅に向かう時に利用していて、記憶違いをしたということだろう。

　人の記憶とは当てにならないものである。