とりあえず、神様目指します!!

菜々瀬 晴人

第1話

「パカパパーンー!!おめでとう〜ございまぁ〜す!!」


何も見えない暗闇の空間の中で誰かが俺に話しかけている。


「早瀬 拓海(はやせ たくみ)さんですね??」


ーーー……そうだけど??


「僕の名前はミル!!天使やってます!!よろしくね!」


ーーーは??天使!?


「改めてまして、おめでとうございます。君は神様候補の抽選に見事当選しました。パチパチパチ〜」


ーーーちょ、ちょっと待って!ちょっと待って!


「お兄さん??」


ーーー違う!!何で天使なのにそのネタ知ってんだよ!


「天使ですから。ドヤッ!」


ーーードヤるな!!そういう事じゃなくて…………。今の俺の状況が全く分からないんだが………。てか、ここどこ??


「…………ここは冥界。君、早瀬 拓海は午前8時3分に〇〇駅で久保田 芳樹(くぼた よしき)に殺害された。」


 一一一!!??


 「そして、今は意識のある塊となって僕と会話していると思ってくれたらいい。」


ーーー何で、そいつは俺を殺した??身の覚えもないんだが………


「理由は簡単。この久保田は薬物乱用者で、薬がキレた事によって彼の心身共に禁断症状が発生し制御が出来なくなってしまい……君が殺害された。」


ーーー……


「今頃は気付いたら殺してしまいましたって警察の人達に言ってる頃だろうさ」


ーーーなるほどな。………俺ってば、生まれた時から運には恵まれてない体質だったけど最期まで見放されちまってたってことか………。


「……他に聞きたい事とかある?」


ーーーそうだなぁ。………あ、さっき言ってた神様候補って言うのは何だ??


「そのまんまの意味だよ。君は神様になれるチャンスを手に入れたって事だよ。」


ーーーそんな唐突に言われても……。てか、そもそも神様は本当に実在すんのか?


「ハッキリと言わせてもらおう。神様は実在していたよ。」


ーーーっっ!!……ん?してたよ?


「うん。神様が実在していたのは過去の話。神様は100年前に突如に姿を消したんだ。」


ーーーは??


「は??ってなるよね。僕たち天使も当時はそんな気持ちだったよ。今でも全力で捜索にあたってるけど情報が全く掴めていないんだ。しかも、腹立つ事に神様ったら仕事を沢山残してくれたもんだから大変だよ。それでまぁ、最初の80年ぐらいはなんとか上司に誤魔化してたんだけど、ついにバレちゃってね。色々と話し合った結果、死人から神に相応しいと思われる人を神様に認定する形になったって事だよ。」


ーーー何故、天使じゃなく、死人から神様を就職させるのはとても謎だけどな。あと1個質問いいか?


「どうぞ。」


ーーーさっきも言った通り俺は生まれてから死ぬまでずっと不運が続いていた。これも、神様が行方不明になったからか??


「恐らくね。本来ならその運の量も神様が指定してるんだけど、不在になってからは代理の天使がやってる。けど、やはり神様との技術の差は天と地の差ぐらいあるからね。通常通り上手く行くこともあれば、君みたいに運が全く無い子も生まれてしまうようになってしまったんだ。」


ーーー……….そうなのか。


「……もうそろそろいいかな??コホン、では聞こう。早瀬 拓海よ。君はこの神様候補に参加しますか??」


ーーー今までの話が本当なら俺みたいに運が全く無い人間って他にいるんだよな??


「さっきのが最後の質問じゃなかったのかい??まぁ、答えるけどさ。うん、いるよ。……君の想像以上にね。」


ーーーだったら、これから先、その神様のせいで、俺みたいに運が悪いせいで死ぬ人もいるってことか??


 「少なくともいるだろうね」


 一--俺が神様になれば、それは阻止できるのか??


 「それは、君の頑張り次第。」


 一一一そうか、じゃあ決めた。


 「では、本当に改めて聞こう。早瀬 拓海さん。貴方はこの神様候補に参加しますか??」


 一一一あぁ。参加するぜ。あ、本当に最後に1つだけいいか??


 「君って結構めんどくさい子だね〜。で、何??」


 一一一その試験って倍率どれくらい??


 「知るかッッッッッッッッッッッッ!!」


 ミルのなかなか良いツッコミが暗闇に響き渡った。







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