第4話 襲撃
アウローラとフィーが目線で互いに火花を散らすのを、周囲の子ども達が囃し立てた。
陣営分けが始まると、フィーとアウローラとで、集まる子ども達の性格が分かりやすく二分されていた。アウローラは女の子を中心に、大人しい子どもに人気があった。一方で、フィーの周りには男の子を中心に、活動的な子どもが集まった。見た限り、フィーの陣営の方が強そうだ。アウローラの陣営の方が勝率が高いという話と矛盾する気がしてエリオに聞くと、アウローラはどんなメンバーでも勝たせてくれるので、普段運動で勝てないような子たちが集まるのだという。ではフィーの方についた子たちはどうなのかと聞くと、壁があったら乗り越えたくなるという心理だと説明された。うまくできているな、とエルニカは二つの陣営を眺め、改めて自分を担ぎ上げた子ども達を見る。彼の周囲にいるのは、比較的低年齢、概ね七才から十才くらいまでの男の子で、女の子は一人もいない。全員が活発すぎるタイプだ。悪戯をして怒られたと言うが、要するにはみ出し者の集まりなのだ。
(既に世の中からはみ出してるんだから、ここでまではみ出さなくても)
エルニカは彼らを頭の悪い集団と判断した。指揮を執るのは難しそうに思える。おまけに人数が他の二陣営より少ない。他の陣営からくじ引きで漏れた子達を陣営に入れたが、ほとんど女の子で、こちらに来ることになると分かるや、顔をしかめた。
「お嬢さんたち、そんなに僕と組むのが嫌かい? そんなに露骨に嫌わないでくれよ」
「違うわ、エルニカ兄さんと組むのは嫌じゃないわよ」
女の子の一人が歩み出る。長い栗毛を、きっちりと二本の三つ編みにまとめた、背筋のしゃんと伸びた子だった。年の頃は十二才くらいだろうか。
「この子たちと組むのが嫌なの。いつも仕事をサボるし、悪戯ばかりするんだから。模擬戦でだって、フィー姉さんの言うこと聞かないで、真っ先に突っ込んでやられるのよ」
「ユーカンだと言ってほしいな!」
そうだそうだと他の男の子も同調する。
「勇敢でも戦死したら意味ないって、姉様言ってたわ」
「姉様やアリアは女だから、男の世界の事がわかんねーんだよ!」
これは面倒臭い貧乏くじを引いたかもしれない、とエルニカは頭を抱えた。やるからにはむざむざ負ける気はなかったが、これでは勝てる見込みがほとんどない。すっぽかしてしまおうかとも考えたが、水汲みの約束を思い出し、いずれにせよ自分に損はないのだと言い聞かせる。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ自分の陣営の子ども達を、うんざりした表情で眺めていると、アウローラが近づいてきてエルニカに耳打ちした。
「エルニカ、お互い
「あまり僕の技が役立ちそうな遊びじゃないしね。いいよ」
「それから――私は少しそなたの評価を改めることにしよう。子ども達に頼られるくらいには、そなたは信頼を勝ち取ったらしい」
「へぇ、僕も随分株が上がったもんだね」
「だが今回はそなたの本音が出るだろう。戦場では人は本性を隠し得ない。極限状況下でこそ、人の真価は顕れる。私は今日でそなたの度量を量ろうと思っている」
「そうかい、お眼鏡に適うよう精々努力するさ」
それから各陣営は、それぞれ移動を始めた。エルニカがさてどうしたものかと考えながら歩き始めると、アウローラが皆に背を向けて歩き出したタイミングで、今度はフィーがエルニカに駆け寄って耳打ちしてきた。
「エルニカ、話がある」
フィーはにやりと笑っていた。
各陣営が初期配置に陣地を構え、模擬戦が始まると、エルニカは自分の陣営を二手に分け、自身はフィーの陣営に合流した。フィーは彼に共闘を持ち掛けたのだ。これで人数はアウローラ陣営を上回る。通常ならこの手の勝負は人数の多い方が勝つ。ごく単純に考えても、例えば二対三の状況になったとき、二対二で拮抗させて、残りの一人が帯を狙えば圧倒的に有利だ。
ところが、いざ勝負が始まると、どういうわけか連合陣営の方がどんどん不利な状況に追い込まれていく。不思議なことに、囮や、案山子を使った攪乱戦法を使われ、一向にアウローラ陣営と直接対面することができない。空いている陣地に幽霊のように突然出現して旗を立てたかと思えば、その陣地を攻められるとあっさり放棄する。
この変幻自在、神出鬼没の動きにより、連合陣営はその都度様々な対応を要求され、別動隊を編成せざるを得なくなり、分断された。折角の数の優位を全く生かすことができない。別動隊を出す度に数名が脱落し、いつの間にかお互いの数は同数程度になってしまった。
エルニカも一度は脱落しそうになったが、エリオを囮にしてやり過ごした。
フィーは、アウローラ陣営が時間切れ時点の人数で勝とうとしていると考え、一気に大将のアウローラを叩いてしまおうという作戦にうって出た。ところがこれが失策で、全戦力を集結した結果、がら空きになったその陣地を、一瞬で三つ奪取され、煙に巻かれるようにあっさりと勝負は終結したのだった。
勝負がついた後で、エリオを囮にしたことをアウローラに咎められ、大将が負けたら陣営が即敗北なのだから適切な判断だった、と言い返すと、アウローラは自分の陣営には一人の損害もないことを示した。
「そなたは物事を短絡的に考えすぎる。一人の損害も出さないことは確かに難しいが、長い目で見ればそれが私たちの勝因になったと言える……やはりまだまだ私はそなたを認められぬ」
確かにアウローラのように出来れば一番よいのだろうが、それは理想であって、現実とは違うと、エルニカはどこか心が冷めるのを感じた。
子ども達が勝敗の結果で喜んだり悔しがったりしていると、一際大きな声で悲鳴が上がった。何事かと皆がそちらを見ると、少し離れた場所に、異形の妖精が群をなして現れていた。
外見はエルニカが迷い込んだ妖精郷で見たのと同じである。細長い手足に、膨れ上がった腹――手には鉈や斧を持っている。興奮しているのか、息が荒い。
アウローラはそれを見て、すぐさま指示を出した。
「フィー、私の前へ! 皆は私の後ろに! エリオ、婆様を呼びに走れ!」
指示をされた子ども達は、戸惑うことなくそれに従った。なるほど、模擬戦に意味はあるらしいとエルニカは思った。
「どう言うことだい? ここは妖精郷じゃないだろう?」
「人間が妖精郷に迷い込むことがあるように、妖精が人間の世界に迷い込むこともある……最近は何故かそれが多くなっているから、婆様は調査をしているのだ。そんなことより、彼らはかなり気が立っている。人間の世界の空気は彼らにとって毒だ、息苦しさで混乱しているのだろうし……あまりこちらに好意的とはいえないようだな。何とかやり過ごさねば」
妖精は二、三十匹はいる。散り散りに子ども達に迫ってきており、このままでは囲まれてしまうように思われた。
「数は同じくらいか……だが悪いことに、こちらに武器はない。逃げきれるか……?」
「あー、アウローラ。僕は用心のために、いつもナイフを一揃え持ち歩いてる」
「やはり危ない奴だなそなたは。だが今はそれが幸いした。それならばやりようはあるな。エルニカ、フィー、私の言う通りに動いてくれ。何とかして見せよう」
アウローラの指示で、子ども達はアウローラとフィーの二人に分かれて陣営を作った。エルニカは一人、子ども達に背を向けて走り出す。
丘陵地には四つの大きな丘があり、エルニカはその一つの頂上に向かっていた。
視界が高くなるほどに、妖精や子ども達の様子が俯瞰してよく見えるようになる。
(さて、遊びじゃない本物の修羅場だ。どうするつもりだい、アウローラ)
エルニカにとっては、まさに高みの見物である。
アウローラはまず、フィーと分かれて別々の方向へ走り出した。元々妖精達と鉢合わせだ場所は丘の麓であり、二つの丘の間、その南側の地点であった。その丘それぞれの外側、外周を回るように、集団が二つに開くように移動している。
妖精達はそれを追って二分される。すると、妖精達は緩やかな列をなし始めた。散り散りだったものに目標が与えられ、動きが統一されているのだ。妖精達は背が低いこともあり、走る速度はそれほどでもない。子ども達の足でもなんとか追いつかれずに間合いを保つことが出来ていた。
アウローラ達は東側の丘の裾を左回りに、フィー達は西側の丘の裾を右回りに移動している。最初はお互い離れるように移動していたが、円を描くように移動すると、ある地点からお互い近付くような動きになり、丘の間の北の地点で合流する。合流地点でアウローラとフィーは足を止め、子ども達を先に逃がした。子ども達は丁度丘の間、谷のようになっているところを南に向かって走ることになる。アウローラとフィーは来た道を少しだけ戻って、妖精達の気を引いている。これで逃げる子ども達は丘の陰に隠れる形になり、妖精達からは見えない。
「なるほどね、模擬戦でも僕たちの陣営はこうやって誘導されていたわけか……」
味方だけでなく、敵の動きも自在に操るアウローラに、エルニカは舌を巻いた。
しかし、それで妖精達が完全に意のままに動いているというわけでもない。何体かは列を離れ、丘を登ってアウローラやフィーの背後を取ろうと、丘の上に登り始める。これでは子ども達の動きがばバレてしまう。
「さて、僕の仕事か」
エルニカは丘の上から妖精達の様子を確認して、子ども達の方に回り込みそうな妖精がいたら、それを足止めする役である。
ナイフを操って妖精の足を切りつけるか、地面に突き立てて足を引っ掛けて転ばせる。三十体全てをまともに相手取るには、戦闘向きではない
さながらアウローラ達三人は、羊を追う牧羊犬のようであった。
エルニカは子ども達が皆逃げ切った事を確認すると、先程の模擬戦で腰につけていた布をアウローラの元へ送った。これが準備完了の合図である。
合図に気付いたアウローラとフィーは、妖精達を巧みに引きつけて、彼らを丘と丘の間に引き寄せた。これで妖精達は散り散りの状態から一塊になり、子ども達は全て逃がすことが出来た。
ここからエルニカはもう一働きである。全てのナイフを妖精の群の方に飛ばすと、円を描くように配置し、刃を円の内側に向けた。円の内側にいる妖精への威嚇である。これで妖精達は迂闊に動くことが出来なくなり、その場に足止めされた。
エルニカは自分の役割が一通り終わった事を確認すると、丘を駆け下りてアウローラとフィーに合流した。
「やあ、見事なもんだね。ところでここからどうするんだい? まさか真珠の家にエスコートっていう訳じゃあないだろう」
「まぁ見ているがいい」
アウローラは懐から赤く輝く石のついた首飾りを取り出すと、呪文を唱え始めた。
「道は既に尽き果てつ――」
赤い石から迸った光が、妖精達の足元の空間に穴をあける。その穴に、妖精が三体ほど落下した。
「前にも見たけど、その石ってなんなんだい?」
「これは世界に穴をあけて、他の世界への道を作る
アウローラはさらに呪文を続けた。
「――昔日に帰る
もう一度同じ現象が起きて、今度は四体が穴に飲み込まれる。この調子なら、妖精達全てを『他の世界』へ送る事も出来そうである。エルニカはほっとした。
「――いつか道が拓くとて」
次々と妖精達が消えていく。半数ほどがいなくなり、アウローラだけでなくフィーにも余裕の笑みが浮かび始めたところで――
一体の妖精が、手に持った鉈をアウローラに投げつけた。彼女は赤い石を構えており、避ける動作が間に合わない。フィーは遠間過ぎて手が届かない。
それを止められるのは、エルニカの
エルニカはナイフを三本操ると、鉈の取っ手に叩きつけた。既に動いている物――鉈――を停止させるのは難しく、咄嗟に制御下にあったナイフを動かしたのだ。
鉈はアウローラの眼前、すんでの所で鉈は弾かれた。
「エルニカか、すまぬ、助かっ……」
礼を言い終わらぬうちに、次々に斧や鉈が飛んでくる。なるほど、自分たちが動けないのなら武器を投げればいいのである。三人は飛んでくる刃物を慌てて避ける羽目になった。もっと悪いことには、エルニカの集中が切れて
妖精達はその隙を突いて、再び散り散りになり始める。
「オイコラ動くんじゃねえ!」
フィーの恫喝を妖精達が聞き入れよう筈もない。
「二人とも、後退せよ! 囲まれると不味い!」
アウローラが指示を出すが、動きが間に合わない。
妖精達は一斉に襲いかかってくる――
『荒ぶる獣を飲み込んで、口を――閉じよ』
その瞬間、嗄れた声の呪文が聞こえてきて、妖精達の動きが止まった。体に何か荒縄のような物が巻き付いている――いや、それは植物のつるだった。
「婆様!」
エルニカ達の背後に、コルネリアが到着していた。エリオに背負われている。エリオは随分急いで来たのと老婆を負ぶってきたのとで、息は切れ切れであった。
「三人とも、お下がり」
コルネリアは両の掌に収まるほどの籠を幾つか持っていた。やや小振りの丸型で、口の部分に蓋が付いている。色とりどりに染められたつるで出来た編み目が複雑な模様になっている。
それを妖精達に投げつけると、籠の編み目が解け、蔓が伸び、妖精の体に絡まりつく。
巻き付いた蔓は次第に妖精を締め付けるように元の大きさに縮み始める。
終いには、小さな籠の中に妖精の体が収まってしまった。
コルネリアは曲がった腰でゆっくり歩みを進めると、一つ一つ籠の蓋を閉じていった。
「これが婆さんの魔術……」
ほとんど一瞬で、全ての妖精を閉じこめてしまったことに、エルニカは驚いた。
「
アウローラは目を輝かせて喜ぶ。その隣で、フィーはやれやれと疲れを隠さずに座りこんだ。
「アウローラ、この
「ああ、そうだった」
アウローラは再び呪文を唱えると、籠ごと妖精達を穴の向こうに放り投げた。
「いやはや、こんな所にまで妖精郷が出てくるようになっちまったかい……早く解決しないと、子ども達にも累が及ぶねぇ」
「婆さん、その籠をもっとたくさん作っておいたらどうだい」
「今も言ったろう。こいつは数分しか保たないんだ。それに一つ作るのにえらく手間と暇がかかるからねぇ。そうそう沢山作れるもんじゃない。ちょいと改良の余地があるね」
(魔術というのも万能というわけではないのか)
エルニカにとっては魔術とは何でも叶えられる便利な存在だと思っていたが、そういうわけでもないらしいことに、少しがっかりした。この際だから魔術について色々聞いてみようとエルニカが質問をしかけたところで、アウローラが割って入ってきた。
「エルニカ、そなたに言っておくことがある」
「何だい?」
「そなたは妖精の驚異を知っている。あの場面で私の指示を聞かず、逃げ出すという選択肢もあった。だがそなたは子ども達を逃がすのに協力してくれた。そして私の危機も救ってくれた。礼を言わせてくれ」
「いや、そう大したことをしたわけじゃないけど……」
エルニカは先ほどの自分の行動を思い出してみた。確かに今考えてみると、損得勘定が合わないような気がする。子ども達が傷ついたり死んだりしたとしても、それでエルニカが責められる謂われはないのだ。そうなったとして、コルネリアが自分を真珠の家から追い出すとも考えられない。
「ありがとう、エルニカ。これまでの非礼を詫びよう」
(まぁ……アウローラの信頼を買えたんだから、悪い買い物ではなかったけど)
それは結果論であり、先ほどの自分はそれを計算していなかったはずだ。エルニカはどうも腑に落ちない気持ち悪さを抱えたまま、愛想笑いを浮かべてアウローラと握手をした。
夕食時、真珠の家の広間では、勝利したアウローラの陣営が、フィーが振る舞うお菓子にありつき、大騒ぎしていた。フィーは、「いつもいつも、負けた上に菓子を作らされる」とぼやいている。子ども達は口々に、妖精を撃退したアウローラとコルネリアを褒め称えていた。
食事が終わって後片付けをしていると、コルネリアがやってきて、エルニカに話しかけた。
「エルニカ、どうだったね、アウローラの指揮働きは」
「あれには恐れ入ったよ。あれは勝てない。僕と見ているものが違う」
「ほう、どう違うね」
「もっと遠くを見ているね。だけどそれが本当に良いのかは分からない。先のことを考えて、目の前の利益を取らないという考えは、理屈では分かるよ。でも明日急に死神のお迎えが来るかもしれないこの世で、今日明日の事じゃなくて、何年も先の事を考える意味はあるのかい」
エルニカは、アウローラやコルネリアの考え方や行動に対しても勿論そう思っていたのだが、妖精を相手取った際の自分の行動に、どうにも計算が合わないとも思っていたから出た言葉だった。あそこで身の危険を冒してまで、他者を助ける意味が分からない。自分の行為は結果的には子ども達を救ったのだろうが、あそこでエルニカが大怪我をしたり死んだりしては、結局最終的に子ども達を逃がしたり守ったりする手が減るではないか。エルニカは矢張り自分も子ども達と一緒に逃げるべきではなかったかと思っている。
エルニカの目は、どこも見ていなかった。強いて言えば、自分の内側を見ている。自分の過去や、黒々と渦巻く自分の鬱屈とした心を見ている。
その目を、正面からコルネリアが見据えた。
「明日天国からのお迎えが来るかもしれないこの世で、生き残る術を教えて、何年か先にそいつが活かされるようにするのが、この孤児院のやっていることさ。織物仕事や模擬戦で学んだことは、仕事や商売にも繋がっていく」
「商売も教えるのかい?」
「年長の子にはね。この間までいた、十八、九の子達には教えていたんだけどね、独り立ちしていったよ。そろそろフィーにも商売の手ほどきをしなけりゃねぇ。勿論あんたにもだよ」
コルネリアの目は、エルニカを見つめながら、その先を見ているようでもあった。今のエルニカではない、これから先のエルニカを。
「僕に商売は無理さ」
その眼差しに耐えきれなくなって、エルニカは目をそらした。
「そんなこたぁないよ。あんたなら出来る」
コルネリアの目は確信に満ちていた。
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