rain

第1話 プロローグ

 物語があった。それは神話の類のものだった。手に取り、表紙を見る。

 『ZERO』 作者 ZERO

 作者が体験した作者自身の伝記という設定の物語か…、うん、面白そう。



 既に、新聞配達のバイクが水溜りを弾く音が聞こえていたが、寝る気にはなれない。


「さて読むか」


 男は、コーヒーの入ったカップと本を持ち替え、そして物語の中に意識を溶かしていく。





『僕は人を食べなければいきていけなかった』


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