第2話 気になるあの人

いつものように地下鉄に揺られながら、高校へ向かう。


ふと、近くに見慣れた制服を着た女子高生を見つけた。


(確か、、隣のクラスの山田さん?)


彼女の方は、私に気づいていないようで、耳にイヤフォンをして、携帯の画面を覗き込んでいる。


山田 リカ。常に学年トップの成績で、所属するテニス部では部長を務めている。まさしく、文武両道という言葉がぴったりな、模範的な生徒だ。容姿端麗で、友達も多い。


それに比べて私は—。

成績は下から数えた方がはやい。友達も多い方ではなく、いつも決まったメンバーと一緒にいる。所属する文芸部の活動は、はっきり言って地味だ。


(山田さんみたいな人になりたかったな、、)


無意識のうちに彼女を見つめていた。

彼女は変わらず、携帯の向こう側を見つめている。


最寄の駅に着き、ホームを歩いていると、後ろから声をかけられた。

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