花火を抱く
汚れた詩
花火を抱く
話を組み込んでいく。新旧の女の境を限りなく薄める(髪型、服装程度の変更。一人二役)。上がる、落ちるの運動によるメタファーの提示。
①’仕事から帰る男。半分空っぽの部屋。映される洗面台、台所...あれっあれー(’挿入部分)
①カフェにて女に別れを切り出される男(もしくはマンションの屋上使えたらそこでもいい)
’
「何で急にいなくなっちゃったんだい?」
「今年の花火もう一緒に見れないね」
’
「どうして?」
「新しくできた彼と暮らすことに決めたの」
「...僕に何か問題でもあったのかな」
’
「いえ、そうじゃないの。あなたは悪くないわ。ただ終わりつつあったものが終わっちゃった。それだけなの。」
’「そう...なのか...それじゃあもう君を引き止めることはできないんだね...」
②天井を見つめる女、その顔が小刻みに揺れている。声が漏れる。瞳はどこか焦点が定まっていない
「あ、どうなってんだこのアマ...急にマグロになりやがって...ま、これはこれで....」
行為が終わり、男はシャワーを浴びている。男の服を着る女。無言で立ち去る。閉まるドア。落ちる羽毛。
③夜の公園をふらついた足取りで歩く男「なんだお前あの間の抜けた答えは。なんだあの女。クソッ」自分の影を見て言う
「おいこっち見るなよお前。殺してやる。待ってろよおい、糞っ。逃げるな」
しばらくの格闘の後しゃがみ込み泣き崩れる。
「罪だ。お前は俺の罪だ。。。」
暗い道を歩く女、タバコをくわえている。顔は朧にしか見えない。煙を吐き出し、タバコをポイ捨てする。
「んわぁ?オイっ...うわアチッ。まだ火ぃついてんじゃねぇか」
「あーごめんな」
地面に男が転がりこんでいる。起こった男は酒瓶を振り下ろ...そうとするが寝込んでしまう。
③朝だ、音がする。隣に人が越してきたようだ。日付の書いてある電子時計に目をやる。腹がへった。冷蔵庫には何もない。男は買いもののために家を出る。
コンビニかもしくは案内板で花火大会の告知チラシを一瞥する。
買い物から帰ってきた男はタバコを吸っている女を目撃する。男の手から滑り落ちるレジ袋。女は前の女の生き写しのようで男は仰天する。困惑する男。
「あら私よ、昨日あんた飲んだくれて道路の真ん中で寝込んでたでしょ。私があんたんちまで運んできたのよ。勝手に財布のカードの住所見させてもらったわ。ごめんなさいね。でもびっくりしたのよ。まさかあんたが新しい部屋のお隣さんだなんて」
「え?や、やめてくれ。き、君なぜここにいるんだ。だって出てったはずじゃないか。僕を捨てて。。。」
「何言ってるのあんた?」
「うわっ、うわぁー」
驚いた男は後ずさり、逃げ出す。女が追いかける。
「追っかけてくんな!」
「だってあんたが逃げるからでしょ!」
路地裏に逃げ込み、女を撒く。
「何がどうなってんだあのアマ。ここまで僕をボロボロにしたいのか!」
部屋に戻るのが怖いので、ネカフェで寝泊まりする。空中から現れる女の像。ネカフェの個室で男を誘惑する。
男は決心し、女を刺そうとする。女の部屋に押し入る。女が倒れているのに気付く。ハッと我に返って女を介抱する。女が意識を完全に回復する前に去る。
ノックの連続、穴から覗く男、昔の女、今の女、候補に現れる。どっちなんだ。。。
④ドアをノックする女。ドアを気持ち開ける男。「やめろ、頼むから俺の中に入ってこないでくれ!」
女は半ば強引に部屋に入ってくる。
「前の例もあるしね。助けてくれたんだろ。これで貸し借り無しだよ」
「俺はそんなつもりじゃ!...」
「それになんだかあんたほっとけないのよ」
パニックになる男。
「やめろ!近づくな!ああ!あ”あ”あ”!!」
「あー何がどうなってんのよ」
男を抱きしめる女。男は次第に落ち着き、事情を説明する。沈黙が場を支配する。
⑤花火の音がする。窓を開け空を見る。はっと窓の外へ視線を送る二人。暫し見入る。
「君は本当にあいつじゃないのか」
「あんたの言うあいつって誰のことよ。分かんないわ」
「あいつでないとしたらお前はなんなんだ。天使か、もしくは悪魔なのか?」
「さぁどうかしら」
「お前が誰なのか、何なのかわからない。狂いそうだ。何も信じられない......」
腕を回し背後から男を抱く女。女の背から生えてきた白い翼が彼らを包み込む
「私の鼓動が聞こえる?」
「ああ」
「私の体温を感じる?」
「ああ」
「これは信じられるのよね」
「ああ」
「ならばお願い、私を信じてちょうだい。これはまだあなたには難しいのかもしれないけど。それでもあなたが私を信じるのなら私は本物になるし、愛も本物になるわ」
花火を抱く 汚れた詩 @drydrops
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