イナゴン・クエスト ~勇者転生どもはつまらんから俺は真逆を行くに決まってんだろうが~

水嶋 穂太郎

いざ再誕!

#001 女神だからって許されるもんでもねえな。

「よお、女神。これってよくあるあれか?」

「そうよ、さっさと選んで転生しなさいよ愚民」


 目の前にいるのは銀髪碧眼などなど、もはや造形描写など意味をなさない女神。

 対する俺はどうやら死んでしまったらしいただの人間。

 要するにだ……。


「死者転生か?」

「他に何があるのよ。馬鹿なの?」

「否定はしない。ただしお前も巻き込むのが俺のモットーだ」

「どういう意味よ!!」


 俺は手のひらを女神に向けてひらひらと振ってやる。

 俺が馬鹿ならてめえも馬鹿の仲間入りじゃぼけ。

 だが、思ったよりも察しのよろしい女神であったらしい――


 うがぁ――っと猛獣のように飛びかかろうとする女神をなだめてやる。

 白毛の虎みてえなやつだな。

 ホワイトタイガーってやつ。

 はいはい、きみは可愛いよ、綺麗だよ、生暖かい眼を向けてあげるよ。

 どうどうどう、よし落ち着いたな、いい子だ。狂暴だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る