痛みも哀しみも絶望もないうちに


白い病室、消毒薬の匂い。機械音だけが無情に響く。

嗚呼、今ならまだ間に合うんだ。

解ってる。わかってるんだ。

目を醒ましたらきみは泣くだろう。泣いて、泣いて、その心を殺すだろう。

今なら苦しくも哀しくもない、解ってるのに。

細い首に手をかけて。


「きみがねむっているうちにころさなきゃ」

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