第49話 8月6日(金)食べ物をお腹一杯まで食べられるのは幸せな事だよ⑥

 そういえば、アンジェリカはどうなってるんだろ?

 あたしはアンジェリカを見たが、そこで唖然となった!あれだけあったザンギがもう数える程しか残ってない!!しかも、ペースは落ちているのは間違いないけどアンジェリカの奴、今でもニコニコしながら食べ続けている!!本当に心の底から食べるのが楽しくて仕方ないんだ。それに店員さんも半ば感心したかのような顔をしてアンジェリカを見ているし、いつの間にか他のお客さんや、2階にいたお客さんまでもが帰る訳でもなくアンジェリカの食べっぷりを見ている。これだけのお皿に乗った量を一人で完食しようとしているのだから、その瞬間を見たいと思うのは人としての性かもしれない。

 猛はというと、ザンタレハーフの最後の1個を食べているが、さすがにハーフだけあって完食間違いなしだが、みっきーは4個残っているという事は10個でギブアップしたという訳か。半ば呆れたような顔をしているという事はアンジェリカの食べっぷりを見て『ホントに化け物かよ』『人間離れしている』とでも思ってるのかなあ。でもここは食べきれなかったら持ち帰りOKだからみっきーを責める気はないな。だとすれば今日はあたしもみっきーと同じでギブアップしようかな?いや、ここでギブアップは勿体ない!楽しんで食べる方法はアンジェリカに教えてもらうにして、今日は根性で最後の1個を食べるのみだあ!!

 あたしは最後の1個を口に入れた。全体の3分の1くらいだけど一気にいかず少しずつ挑戦だ。かなりタレの味が染み込んでいるけど、クドイとは思わない。これを食べれば完食だ。食い気と満腹感の戦争は満腹感の勝ちかもしれないが、そんな事を考える場合じゃあないぞ。あたしは食べきってやる!さすがに最初の頃と違って一気に飲みこむ気にはなれないから、少しずつ噛み砕いて少しずつ飲み込む、そう、マランソンランナーが一歩一歩進んで栄光のゴールへ向かうように、少しずつ、少しずつ食べ続けている。

 とうとう最後の一切れを口にいれ、10回以上も顎を動かして、最後のザンギが全て喉の奥に消えた。やった、あたしは全部食べ切ったんだあ!絶対にリバースなんかするものかあ!!


「ごちそうさまー」


 へ?・・・

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