おじいちゃんのお花

みぃまん

第1話 おじいさん

 ある島に1人で住んでいたおじいさんは、今夜も暖炉の前で椅子に座り、うたた

 寝をしていました。


 遠くの森からは犬の遠吠えが微かに聞こえ、窓の外にいたフクロウがおじいさん

 を見つめています。

 暖炉の炎はちらちらと揺れ、おじいさんの顔を優しく照らしていました。


 『ホーホー』

 外にいたフクロウが小さく鳴くと、家にあった鳩時計も10回鳴きました。


 おじいさんの手には薄い緑色をした手紙が握られていました。

 その手がピクリと動き、おじいさんは目を覚ますと

 「こんな時間になってしまったか・・・」

 と呟き、悲しそうな顔をして手紙を見つめ、その手紙を大事そうに引き出しにし

 まいました。


 おじいさんはそっと立ち上がると、暖炉のそばに吊るしてあったヤカンからお茶

 をカップに注ぎました。

 『ふぅ~っ』とお茶を冷まし一気に飲み干すと、おじいさんは部屋の片づけをし

 てベッドに入りました。


 「明日も早く起きなくてわな」

 部屋の明かりを全部消すと、月明かりが窓から差し込み、外にいたフクロウはお

 じいさんの眠りを見届けると静かに飛び立って行きました。



 次の日、鳩時計が5回鳴るほんの少し前、おじいさんは起き上がるとヤカンでお

 湯を沸かし始めました。

 そして窓辺にある鉢植えに『おはよう』と声をかけて、お水をあげました。咲い

 ていた小さな花は、太陽に照らされた水滴でキラキラと元気になり、おじいさん

 に『おはよう』と言っているようでした。

 

 ヤカンから湯気が立ち上り、お茶を入れたおじいさんはそれを飲みながら朝食を

 作り始めました。


 ハムエッグとほかほかに焼いたトースト2枚。そしてサラダを食べると、おじい

 さんは着替えて長靴を履き、いつものように畑へ向かいました。


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